(CNN) バイデン米政権が、米アラスカ州の北極圏国立野生生物保護区(ANWR)での原油とガスの採掘のリース権を差し止める意向であることが分かった。政権幹部が1日、認めた。トランプ前政権による昨年の措置を覆した形だ。
これに先立ち、バイデン大統領は今年に入って内務長官に対して、同地における原油およびガスのリース権を審査の間、一時的に停止させるよう指示する大統領令を発令していた。
この大統領令では、前回の環境評価における不適切性といった、「このプログラムの底流にあるとみられる法的欠陥」が指摘されていた。
バイデン政権がリース権停止を計画していることについては、米政治ニュースサイト「ポリティコ」が最初に報じた。
今回の停止措置は、産業界の利益に沿う傾向があると自然保護団体や民主党が指摘していたトランプ前政権の環境政策を覆す、バイデン政権の新たな動きと言える。
トランプ政権は昨年11月、同保護区の沖合に位置する原油とガスの鉱区リース権に関する法的な手続きを開始。これについて環境団体は、政権交代の間際にエネルギー業界に利益を与えている可能性があると指摘していた。
内務省によると、同政権下の今年1月6日にリース権が販売され、43万エーカー(1740平方キロ)あまりの9つの地区について10年間のリース権が設定されていた。
ANWRの面積約7万8100平方キロのうち沿岸の平地は6500平方キロ近くを占める。こうした平地は環境上慎重な扱いが求められる一方、原油やガス資源では有望な場所と見られている。