中国恒大が特に力を入れていたサッカースタジアムだが、建設が中止され政府に管理を委託することになった。中国当局としても使い道に困る状況だから、安く売却するものと思われる。サッカークラブを持つ恒大終焉の象徴のような出来事と言える。
中国恒大が建設中のサッカー場、政府管理下に=関係筋
[香港/北京 26日 ロイター] – 資金繰り難に陥っている不動産開発大手、中国恒大集団が広州市に建設中のサッカースタジアムを中国の政府機関が管理下に置いたことが、事情を直接知る関係者の話で明らかになった。
同社は3000億ドル超に上る債務の返済原資の捻出に苦心しており、赤字に陥っているサッカークラブ、広州FCの売却も検討しているという。
総工費120億元(18億6000万ドル)の広州恒大サッカースタジアムの建設は昨年4月に始まり、22年末までに完了し、収容人数が世界最大となる計画だった。
ただ、恒大は資本不足が理由で建設を中止し、当局に管理を託した。関係者によると、当局はスタジアムを売却するか、売却先が見つかれなければ国有会社である広州市城市建設投資集団を通じて買収する方針。
別の関係者は、建設は3カ月以上停止していると述べた。
恒大はコメントを控えた。同社は9月に建設は続行していると表明していた。広州市と広州市城市建設投資集団からもコメントは得られていない。
恒大は広州FCの経営権を2010年に1億元で取得。今年3月に上場廃止となる前は190億元の価値が付いていた。中国スーパーリーグを8回制覇する強豪チームだったが、恒大の資金繰り難を背景に、9月にヘッドコーチだったファビオ・カンナバロ氏の退任が発表されるなど、人材の流出が続いている。
また、関係者や弁護士によると、恒大が所有するサッカースクールは流動性逼迫を理由に、100人強のスタッフを8月以降に解雇した。
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二束三文で売却するしかない状況か
黒井スタジアム建設には18億ドルもかけたようだが、中国のサッカークラブで次々と給料の遅延が発生している以上二束三文にしかならないだろう。中国は習近平政権の厳しい金融引き締めでどの企業もお金がない。恒大より酷い例では、人民元建ての理財商品の利払いさえもできない企業も先日あった。
黒井中国政府としても今破綻されると困るのかもしれない。来年2月の北京五輪への影響は必至だからだ。当局が安く買い取り二束三文で売却するにしても、それでも少なくない現金が恒大側に渡ることになる。だがまさに焼け石に水、雀の涙状態だ。