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長野・松本市の業者による犬の虐待事件。多くの犬を衰弱させ、元社長の逮捕・起訴に至った今回の事件。
なぜ防げなかったのか、元従業員や動物愛護団体を取材した。
【画像】元従業員が語る「悲惨な実態」
「業者に道具として扱われた」
ミニチュアダックスフントの「幸(さち)」。
虐待が明らかになった犬販売業者の施設から救い出され、保健所で保護した犬だ。
動物愛護団体を通じて2021年11月、里親の大堀さんのもとにやってきた。
里親になった大堀久美子さん:
漢字で「幸せ」と書いて「幸」。これからは幸せな「犬生」を送ってもらいたい意味を込めてつけました
保護された時、「幸」は妊娠していた。
逮捕された業者の元社長は、獣医の免許がないにも関わらず、自ら帝王切開をして子犬を取り上げていた。
「幸」にも、過去に受けたとみられる帝王切開の痕があったという。
里親になった大堀久美子さん:
信じられない。変な言い方すれば道具として扱いを受けた。これからはそういったことが起こらないので、今まで以上、何倍も何十倍もかわいがって幸せに生きてもらいたい
告発に基づき捜査 元社長らを起訴
捜査員に抱えられて出てきた犬たち。毛が長く伸び、おびえた様子も伺えた。
2021年9月の家宅捜索は、関係者の情報提供、告発に基づくもので保健所も立ち会った。
市内2カ所の施設で飼育されていた犬は900匹余り。
その後、劣悪な環境で飼育し虐待していたとして、元社長・百瀬耕二被告が逮捕・起訴された。起訴状では469匹を衰弱させたとされている。
元社長「犬を増やし、収益を上げたかった」
元社長・百瀬耕二被告:
(犬に)ご飯をしっかりあげるということが精いっぱいで、手入れしてあげられなかったので、本当にかわいそうなことしちゃった
逮捕前、取材に応じた元社長は、2019年頃から人手が犬の数に追い付かず、世話が不十分になっていたと認めた。
飼育基準を厳しくした2021年6月の法改正を前に従業員を確保しようと、「犬を増やし、収益を上げたかった」という趣旨の説明もした。
元社長・百瀬耕二被告:
経営でお金を回してかなきゃいけない、新しい犬舎を建てなきゃいけないことで突き進んだ。なぜ逆に頭数を減らす方に自分の考えを持っていかなかったのか、今、考えれば(規模を)小さくすればと後悔している
資金繰りのために繰り返された繁殖。ある関係者も、業者が毎週のように犬をオークションに出品していたと話す。