日野自動車の本社
日野自動車によるエンジン性能試験の不正で、国土交通省は29日、同社が不正な手段で量産に必要な国の「型式指定」を受けたとして、道路運送車両法に基づき、4機種のエンジンの指定を取り消した。同法に基づく最も重い行政処分で、対象エンジンを搭載した車の販売が事実上、不可能になる。
不正な手段で受けた型式指定を取り消す規定は、2016年に発覚した三菱自動車の燃費不正を受けた法改正で導入され、適用は今回が初となる。
対象は16年6月~19年5月に不正を行って指定を受けたトラック、バス用の4機種のエンジンの型式。中型トラック「日野レンジャー」や大型観光バス「日野セレガ」などに搭載されている。4機種を搭載した車の販売台数は年計2・2万台で、日野の国内販売台数の35%にあたる。
これまでに出荷された車は、指定取り消しの対象から除外する。
国交省によると、4機種では、排出ガス性能の試験中に浄化装置を新品に差し替えたり、燃費試験を良いデータが取れるまで繰り返したりするなどの不正が行われていた。日野はこうして得た性能データを基に型式指定を受けた。
自動車業界では、17年にSUBARU(スバル)や日産自動車で出荷前に自社で行う完成検査の不正が発覚するなどしている。しかし、今回は型式指定に関わる「より根本的な部分の不正」(国交省幹部)で、過去にない厳しい処分となった。
4機種のうちの一つは排ガスが基準値を超える恐れがあり、日野は25日に中型トラック約4万6000台のリコールを届け出た。
また国交省は、日野が開発し、トヨタ自動車といすゞ自動車が指定を受けたエンジンに関する型式も取り消した。