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母親のパスポートで日本を出国し、イギリスに渡ろうとしたとされる自称・イラストレーターの橋本志穂容疑者(28)が、今月14日、母親を殺害した疑いで再逮捕された。
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遺体に無数の傷「強固な殺意」か
志穂容疑者は、今年2月中旬ごろ、栃木県・上三川町の県営住宅で、同居する母親の啓子さん(58)の頭や顔などを、刃物で複数回切りつけ、殺害した疑いがもたれている。取材によると、啓子さんは、頬のあたりを何度も切りつけられ、顔が判別できないほどだったという。
死因は頭蓋内損傷。凶器の刃物は、頭の中の深い部分まで達していたことになる。傷跡からは強固な殺意がうかがえる。
遺体をベランダに放置 殺害は「黙秘」
志穂容疑者は、啓子さんの遺体を自宅ベランダに放置した疑いで、先月24日、逮捕されていた。室内には血痕が見つかっていることから、室内で殺害した後、遺体を何らかのモノで包んで、ベランダまで運び遺棄したとみられる。
これまでの調べに対して、死体遺棄については、容疑を認めている志穂容疑者。しかし、母親殺害については、「今は答えられません」と黙秘しているそうだ。だんまりを決め込むワケは何なのか。
事件は「単独犯」 母娘のトラブルか
記者にとって、栃木県警捜査一課の再逮捕会見は、スッキリしない内容だった。会見では、殺害日時、凶器、動機、遺体に残された傷など、事件の詳細について、「答えられない」「差し控える」の連続だった。
容疑者が黙秘・否認している場合、捜査当局が、記者発表の際に、”口をつぐむ”ケースは少なくない。どこまで事件の詳細を把握しているのか、容疑者・弁護人に対して、手の内を明かさないためだ。裁判で、確実に、有罪を勝ち取る狙いもある。
ただ、今回、栃木県警は、事件の”見立て”として、志穂容疑者の「単独犯」であることを明らかにした。第三者が事件に介在していないとすれば、母娘の間に、何らかのトラブルがあったということになる。
母親のパスポートで”海外逃亡”か
2月中旬ごろ、母親の啓子さんを殺害し、遺体を自宅ベランダに遺棄したとされる志穂容疑者。2月25日には、啓子さんのパスポートを使って、成田空港から出国。しかし、渡航先のイギリスの入国審査で、母親になりすましていることを見破られる。
志穂容疑者は、3月1日に、日本に強制送還され、千葉県警に旅券法違反の疑いで逮捕された。事件の時系列を整理すると、母親を殺害し、海外逃亡を図った可能性が高いと言える。マンガ家志望だった娘と、それを陰で支える明るい母親。
取材では、そんな親子関係が明らかになっている。20年ほど前から住んでいたとされる県営住宅が殺害現場となった。啓子さんの顔・頭には無数の傷が残されていた。母娘の間に何があったのか。動機の解明が待たれる。
社会部