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全国各地の山林に、猛毒のダイオキシンを含む除草剤が埋められているのをご存じだろうか。実は福岡市民にとって大切な水がめのそばにも埋まっている。
流出の恐れも指摘される現場を取材した。
【画像】規定の3倍以上の除草剤が埋設された五ケ山ダム近くの山
山中に埋められた「猛毒」
福岡・那珂川市と佐賀県吉野ヶ里町に跨る「五ケ山ダム」。2021年1月に運用が開始され、福岡市などに飲み水を供給している。
案内してくれたのは、北九州市立大学の原田和明さん。原田さんは、五ケ山ダムにほど近い山中に埋められている「ある物」を20年もの間、調査している。
山道を歩くこと約10分。
北九州市立大学・原田和明さん:
あれですね。あの白い看板です
原田さんが指差す看板に書かれていたのは…
記者:
立ち入り禁止という文字、そしてその下には「2・4・5・T剤が埋没している」と書かれていますが?
北九州市立大学・原田和明さん:
245T剤というのは、ベトナム戦争で米軍が大量に散布した枯れ葉剤のことです
245T剤…今から47年前に終結したベトナム戦争。米軍はジャングルの緑を枯らすため、大量の枯れ葉剤を使用した。
245T剤とは、この枯葉剤の主成分で、猛毒のダイオキシンを含む除草剤だ。
そんな「猛毒」が、なぜこの場所に埋められているのか?
(Q.なぜここに埋まっている?)
北九州市立大学・原田和明さん:
1970年代に、林野庁が日本全国の国有林に枯れ葉剤をばらまいたんですよ
林野庁によると、埋設されている除草剤は、かつて国有林の雑草を枯らすために農薬として使用されていたという。
しかし世界各地で健康被害が報告されたため、林野庁は1971年に使用中止を決定。当時の技術では安全に処理をすることが出来なかったため、在庫を埋めて処分することになった。
当時、埋設されたのは全国で54カ所。
その中の1カ所が、五ヶ山ダムまで約1kmのこの場所だったのだ。
北九州市立大学・原田和明さん:
当時、処分方法がなかったというのと、処分にお金がかかるというので、誰も手をつけたがらない。問題ですよね。(林野庁は)できれば問題を先送りにして、その間に大きな災害にならなければいいなという期待を持ちつつ、先送りしていることなんじゃないですかね