ウクライナ軍がクリミア半島で反撃、ロシアに「心理的」影響=西側当局者


ウクライナ軍がクリミア半島で反撃、ロシアに「心理的」影響=西側当局者

ウクライナ軍がクリミア半島で反撃、ロシアに「心理的」影響=西側当局者

ウクライナ軍がクリミア半島のロシアの軍事基地などに攻撃を仕掛けていることが、ロシア軍に心理的・実務的な影響を与えていると、西側当局者が指摘している。

8月9日にサキ軍事基地で起きた爆発など、クリミアへの相次ぐ攻撃の結果、ロシアの黒海艦隊が持つ戦闘機の半数以上が使用不能になったという。

強力な艦隊として長い歴史を持つ黒海艦隊だが、2月のウクライナへの侵攻開始以来、相次ぐ屈辱のため、防戦態勢を余儀なくされていると、西側の当局者は話す。

ウクライナ軍は4月、ロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」を沈没させた。乗員510人のミサイル巡洋艦は、侵攻において海側からの攻撃を担っていたが、その沈没は象徴的にも軍事的にも大きな打撃となった。

ロシア国防省は当時、モスクワに積載していた弾薬が、原因不明の火災で爆発したと説明。港までけん引されている途中に転覆したと述べていた。

さらに6月には、2月の侵攻開始日に占領した黒海のズミイヌイ(英語名スネーク)島がウクライナ軍に集中爆撃され、艦隊は撤退を余儀なくされている。

そしてここ数週間、ロシアが2014年に併合したクリミア半島で黒海艦隊が拠点としてきたクリミア西岸セヴァストポリの周辺が、ウクライナ軍の攻撃にさらされている。

セヴァストポリの北にあるサキ空軍基地への爆撃では、少なくとも戦闘機8機が破壊された。

ウクライナ侵攻開始後もクリミア半島に戦火は及んでいなかったものの、サキ基地へのこの攻撃後には、多くの観光客がクリミア半島から逃れる様子が確認された。

BBCが入手した写真では、半島からロシアへ続く道路が大渋滞となっている様子がうかがえる。

ウクライナ軍によるクリミア攻撃は、8月9日のサキ軍事基地だけではない。

ロシア当局は7月、セヴァストポリで行われた海軍記念日の式典がウクライナのドローン攻撃を受けたと発表。また、8月16日にもクリミア北東部マイスケの弾薬庫で爆発が相次いだ。

ウクライナ軍の攻撃能力はクリミア半島には決して届かないだろうというのが、これまでの見方だった。しかし8月に入ってから、クリミアで相次いだ爆発を多くのロシア人観光客が目撃し、その後ロシアに逃げ帰っている。西側当局者は、こうしたことがロシア政府に心理的な影響を与えていると報道陣に話した。

この当局者らは今回、匿名報道を条件に、報道陣への状況説明に応じた。それによると、ロシアの黒海艦隊は現在、沿岸警備にあたる小規模な艦艇部隊と大差のない規模まで縮小しており、ウクライナの攻撃を警戒して慎重な動きを強いられている。

また、ロシア軍がウクライナ南西部の主要港オデーサ港を攻撃する能力や、攻撃する可能性は、短期的にはほとんどないだろうと述べた。

ロシアの国営メディアRIAは17日、黒海艦隊のイーゴリ・オシポフ司令官が、攻撃を理由に交代させられたと報じた。新任のヴィクトル・ソコロフ司令官は、セヴァストポリ港で軍高官らに迎えられたという。

ロシア政府はさらに、苦境にある艦隊の武装強化を計画しているとみられる。国営メディアによると、ソコロフ新司令官は複数の若い将校に対し、新しい艦船12隻や航空機、車両などの補充が年内にはあるはずだと話した。

タス通信によると、ソロコフ提督は、ウクライナ侵攻において「与えられた全ての任務を(黒海艦隊は)成功裏に完了」していると力説したという。

しかしイギリス国防省は16日の戦況分析で、黒海艦隊の実行力が現在「限定」されているせいで、ロシア政府の全般的な「侵略戦略が損なわれている」と指摘した。「水陸からのオデーサへの脅威が、現在ほとんど無効化されている」ことが、この一因だという。

英国防省によると、この時期に他の海域で活発化するロシア軍の活動とは対照的に、黒海艦隊は概して「極めて防戦的」な態勢をとり、その警戒活動はクリミア沿岸から目視できる範囲に留まっているという。

(英語記事 Crimea fightback having ‘psychological impact’ on Russia)

(c) BBC News



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