ロシア国旗
ロシアのプーチン政権が暴走を加速させている。ウクライナ東部と南部の計4州で実施した「住民投票」と称する行為で賛成が多かったとして一方的に編入を宣言する可能性が強まった。米国など自由主義陣営は当然認めず、追加制裁の構えだ。また、ロシアからドイツに天然ガスを送る海底パイプラインでガス漏れが発生、意図的な「破壊行為」との見方が強まっている。
【写真】海底パイプラインからガスの気泡が浮かぶ様子
プーチン大統領は30日の議会演説で編入を正当化するとの見方がある。
「住民投票」を実施した4州は東部のルガンスク州とドネツク州、南部のヘルソン州とザポロジエ州で、いずれもロシア軍が制圧した地域。武装兵士を伴った「選挙委員」が戸別訪問して住民に投票を事実上強制するなど、とうてい民意を反映したものではない。
ウクライナのゼレンスキー大統領は27日、国連安全保障理事会の会合にオンラインで参加し、ロシアは4州を編入後、男性住民を軍に動員して「母国と戦わせようとしている」と非難。「他国の領土を盗み、国際法の規範を消し去ろうと試みる最もひどい国連憲章違反だ」と訴えた。
ブリンケン米国務長官は同日、「ロシアによる領土併合を決して認めない」と強調し、対露追加制裁を念頭に「迅速で重い代償」を科すことになると警告した。
一方、海底パイプライン「ノルドストリーム」と「ノルドストリーム2」で発生したガス漏れについて、デンマークのフレデリクセン首相は27日、「事故ではなく、意図的な行為だと判断した」と指摘した。
スウェーデンのアンデション首相も別の会見で「おそらく妨害工作だ」と発言。同国の警察が捜査を始めたほか、近隣諸国や北大西洋条約機構(NATO)と連携していると明らかにした。
欧州では、エネルギー価格高騰を狙ったロシア側の攻撃と報じられた。逆にウクライナ側の攻撃との見解もあるなど憶測が広がっている。