プーチン氏、ウクライナへの大規模攻撃は当面行わず 大半の標的は攻撃済みと
ロシアのウラジーミル・プーチンは14日、ウクライナを破滅させる意図はなく、大半の標的をすでに攻撃したとして、ウクライナに対する新たな大規模攻撃は必要ないと述べた。ロシアはここ数日、ウクライナな各地で開戦以来最も激しい砲撃を行っていた。
30万人を目標とする予備役の動員については、2週間以内に達成する見通しだと、プーチン氏は述べた。
ロシアがウクライナに侵攻してから8カ月近くが経過したいま、ウクライナ軍は前進し、ロシア軍はもっぱら撤退を余儀なくされている。
プーチン氏はカザフスタンの首都アスタナで開かれたアジア相互協力信頼醸成措置会議(CICA)への出席後、ロシア軍が設定したウクライナ国内の29の目標のうち22の目標を直近の攻撃で破壊し、残りの7目標についても「到達しつつある」と記者団に述べた。
「大規模な攻撃は必要ない。我々にはいま、ほかの任務がある」
ロシアは10日、ウクライナ各地の都市に対する攻撃を開始した。プーチン氏は攻撃について、ロシアと2014年に一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島を結ぶ重要な橋で爆発があったことへの報復だとしている。ウクライナは橋の爆発への関与を認めていない。
ロシアによるウクライナ各地への砲撃で、これまでに少なくとも19人が死亡し、負傷者は100人を超えている。電力施設などインフラも被害を受けた。侵攻開始以来、キーウ中心部が標的となるのは初めて。
ところがプーチン氏は、ロシアにはウクライナを破滅させる意図はないと述べた。ただ、侵攻を後悔しているわけでもないとした。
「今日起きていることは、控えめに言っても気持ちのいいものではない」とプーチン氏は述べた。「しかし、それでもやはり(ロシアが攻撃しなければ)我々は同じ状況にあっただろうし、我々にとって条件はさらに悪くなっていただろう。だから我々はあらゆることを適切なタイミングで正しく行っている」。
プーチン氏によると、予定する予備役30万人のうち約22万人が動員され、1万6000人がすでに戦闘に加わっている。追加の動員は必要ないとしている。
予備役の部分的動員をめぐってはロシア国内で不満が広がり、何万人もの男性が近隣諸国に逃れている。BBCの取材では、予備役が前線に送り込まれる前に十分な訓練を受けられていないことを示す証拠が見つかっている。
こうした中、BBCロシア語サービスは、ウクライナでの戦争で死亡したロシア軍人は7500人以上に上ると伝えている。実際の死傷者数ははるかに多いとみられ、最近動員された兵士が死亡したとの報告もある。
プーチン氏は旧ソ連構成国との関係について、ウクライナでの戦争は旧ソ連構成国の「性質と深部」に影響は及ぼしていないと主張した。
一部の国が懸念するのは当然のことだが、それらの国には詳細を伝えているとした。
複数のアナリストは、カザフスタンのカシム=ジョマルト・トカエフ大統領のような指導者たちは、この戦争をめぐりプーチン氏と距離を置こうとしていると指摘。同地域におけるロシアの影響力は低下しているとみている。
■その他の動き
ロシア政府は14日、先週の爆発で損傷したクリミアの橋について、来年7月までに修復を完了させるよう関連企業に命じた。
ウクライナ当局は赤十字社に対し、ロシアの占領下にあるオレニウカ刑務所を3日以内に訪問するよう要請している。
米宇宙開発企業スペースXの創設者イーロン・マスク氏は、ウクライナの通信インフラに不可欠とされる衛星インターネットサービス「スターリンク」について、無期限で資金提供を続けることはできないと述べた。同氏は米国防総省に資金援助を要請したと報じられている。
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、同国に欧州へのガス供給のハブ拠点を設置するというロシアの提案を支持した。
英国防省の最新戦況報告によると、ロシアの雇い兵組織「ワグネル」がウクライナ東部ドネツク州の2つの村を占領した。同地域でロシア側が前進するのは3カ月ぶり。
(英語記事 No more massive strikes on Ukraine, for now – Putin)
(c) BBC News