ゼレンスキー大統領=ロイター
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は14日、ロシア軍が撤退してウクライナ軍が11日に奪還した南部ヘルソン州の州都ヘルソンを奪還後初めて訪れ、ロイター通信によると「我々は前進する」と述べた。州都を含むドニプロ川西岸地域の奪還を国内外に誇示する狙いとみられる。
(写真:読売新聞)
ゼレンスキー氏は13日のビデオ演説で、ウクライナ軍や行政当局が、ドニプロ川西岸の226集落で「秩序と安定の回復」を急ぐ姿勢を強調した。露軍の戦争犯罪が既に400件以上報告されているとも指摘し、露軍占領下で住民が受けた被害の解明も進める意向を表明した。
ウクライナ内務省幹部は13日、地元メディアに西岸地域で住民を拷問する施設が複数見つかったと明らかにした。露軍が撤退前に設置した地雷の除去も急務になっている。
露国内では、プーチン大統領が批判を浴びている。民族主義的な思想家アレクサンドル・ドゥギン氏は11日、州都ヘルソンの放棄に関し、「専制君主たるものは国民と国家を守るものだ」とSNSで指摘した。ドゥギン氏はプーチン政権の外交政策に一定の影響を与えたとされ、異例の批判と受け止められている。
露国営テレビの著名なキャスターは、日露戦争(1904~05年)などでの敗北を引き合いに総動員を呼びかけている。米政策研究機関「戦争研究所」は13日、露軍がヘルソン州から撤退させた部隊などを投入して、東部ドネツク州の攻撃を強化するとの見方を示した。