エストニアのペヴクル国防相は26日、国営放送の取材に「クラスター弾頭タイプの155mm砲弾をウクライナに提供するため製造国のドイツに移転承認を要請した」と明かした。
ドイツはオスロ条約を批准しているためクラスター爆弾の移転に同意しないかもしれない
複数の子弾を内包したクラスター爆弾は単弾頭の爆弾と比較して影響を与える範囲が広く面制圧向きの兵器だが、正常に作動しなかった子弾が不発弾となる確立が高く民間人への被害も多いため、多くの国がクラスター爆弾を禁止するオスロ条約に署名したが、ロシアとウクライナは同条約に署名していないため現在の戦争でクラスター爆弾は日常的に使用されている。

出典:Renee Altrov/CC BY-SA 4.0
エストニアは同条約に署名したものの批准していないためクラスター爆弾の使用や保有に制約がなく、保有するクラスター弾頭タイプの155mm砲弾をウクライナの要求に応じて提供したいのだが、この砲弾はドイツで製造されたものなので移転承認を取り付けなければならない。
国際法の専門家であるタリン大学のルネ・ヴェルク教授は「ロシア軍のように人口密集地でクラスター爆弾を使用するのは禁止されている。しかしオープンストリートマップで敵軍を制圧するため使用するのは正当化させるべきだ」と主張しているが、ドイツは同条約を批准しているためクラスター爆弾の移転に同意しないかもしれない。

出典:Steffen Hebestreit
因みに同条約に署名していない米国も昨年12月頃「クラスター爆弾のウクライナ提供を検討し始めた」と報じられたが、議会がクラスター爆弾移転を法的に制限しているため「このアイデアをバイデン大統領は真剣に検討してしない」と関係者は述べている。
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ