【日曜に書く】G20終えた大阪の「都市格」 論説委員・河村直哉


大阪城をバックに記念写真撮影に臨む各国首脳と配偶者ら=6月28日午後、大阪市中央区(代表撮影)

 合格といっていいのではないか。20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)を無事に終えた大阪のことである。大阪湾の人工島、咲洲(さきしま)にあるインテックス大阪で開かれた。

サムライボールの古傷

 最初にひとむかし前を振り返ろう。大阪人の「古傷」をえぐるつもりは決してないのだが。

 平成7年11月、大阪市でアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開かれた。各国の首脳や閣僚が集まるとあって、各機関とも力を入れた。

 以下、産経新聞大阪本社版の紙面による。海外の記者らに関西を宣伝する場が設けられ、たこ焼きが無料でふるまわれた。当時の横山ノック大阪府知事が試食し、「サムライボール」とはしゃいだ。

 警備中、市民に「あほ」といわれても気にするな-。他県から派遣された警察官に大阪府警はそう訓示している。大阪人の口の悪さにひるんではいけないということである。

 無事に終わったものの、大阪人をいささかがっかりさせるオチもついた。当時のクリントン米大統領が、議会との予算折衝の難航などで結局、訪日を取りやめたのだった。紙面には気落ちした街の声が残る。「たこ焼きを大統領にサービスしようと計画していたのですが…」

 訪日中止はアメリカ側の事情であり、大阪の非ではない。たこ焼きうんぬんも、少し大仰ではあるが大阪人なりの愛情表現だっただろう。

 だが、真の「大阪の悲劇」がその後に来た。2008(平成20)年夏季五輪の招致活動である。舞洲(まいしま)がメーン会場、夢洲(ゆめしま)が選手村。G20が行われた咲洲と並んで浮かぶ人工島である。

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