松本人志(左)と中居正広(C)日刊ゲンダイ
【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】
藤島ジュリー景子社長(56)は嘘をついている。
ジャニー喜多川氏の性加害問題…30年以上告発してきた元Jr.が推測した衝撃の被害者数
BBCを含めたメディアに対しては取材にも応じなかったのに、最大の「金づる」であるファンから「第三者による検証・調査を求める署名(1万6125筆)」が届いたことであわてたのであろう。このままいけばファンクラブからの脱退者が相次ぎ、ひいては自社のタレントをCMに起用しているスポンサーが離れていくのは間違いない。
事務所の存続が危うくなる。相当な危機感を感じ、事務所開設以来初めて、社長が出演する動画を公式サイトに公開したのである。
ジュリー社長は殊勝な顔をして何度も頭を下げた。だが、創業者で叔父のジャニー喜多川による少年たちへの性的虐待問題については、「当事者であるジャニー喜多川(が亡くなっているため=筆者注)に確認できない中で、私どもの方から個別の告発内容について『事実』と認める、認めないと一言で言い切ることは容易ではない」といったのである。
しかし、喜多川の性的虐待問題を週刊文春が報道し、同誌の記事が名誉毀損に当たるとして事務所側が損害賠償を求めた訴訟で、2004年に記事の主要部分を「真実」と認める判決が最高裁で確定している。
当時、ジュリーは30代半ばで、喜多川の姉でジュリーの母親のメリーは、弟の性癖について「弟は病気なんだから」と言っていたという報道が過去にあった。彼女が何も知らなかったはずは“絶対”にない。
■松本人志や中居正広を動かした“目くらまし作戦”も失敗?
話は変わるが、4月30日に松本人志と中居正広がMCを務めるトーク番組「まつもtoなかい」(フジテレビ系)の初回ゲストとして香取慎吾が出演した。中居と香取が揃ってテレビに出演するのは、SMAP解散以来6年ぶりだという。4月21日には、稲垣吾郎が別の松本の番組に出演している。香取は番組中にこんな爆弾発言をした。
「SMAP解散して(中略)テレビって場所でのお仕事が減ってしまうかもしれない中でも、新しいことをやってみたいっていう方向が近かったのが3人で。中居君はもうテレビの中でやっていきたいっていうようなお話もあったから。もうその時点でちょっとこう、あの、進む道が違うっていうか」
朝日新聞(5月10日付)は「記者レビュー」で、「フジテレビが放送したことも含め、前進だと思う」と評価しているが、私は違った見方をしている。香取や稲垣をテレビに出そうと画策したのは松本人志だそうだ。今や「芸能界のドン」気取りの松本は、中居を抱き込み、フジテレビと話をつけ、ジャニーズ事務所に恩を売ろうとしたのではないか。または事務所側が松本に泣きついたのか。
中居と香取が一緒にテレビに出れば、スポーツ紙だけでなく、他のテレビや新聞、週刊誌も取り上げるはずだ。うまくすると喜多川問題がうやむやになるかもしれない。そんな姑息な意図が透けて見えた。だが、ファンクラブの女性たちが立ち上がったことで、もくろみは水泡に帰した。
SNS上では「#ジャニーズスポンサー不買宣言」が展開されている。桜井翔を起用している三井不動産は週刊文春(5/4.11日号)に対して、「報道が事実だとすれば誠に遺憾。差別やハラスメントの禁止といった法令遵守は非常に重要である」と回答していた。
一社でもCMを打ち切れば雪崩を打つ。そうなれば帝国の命運は尽きる。(文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「週刊フライデー」元編集長)