潜水艇「タイタン」
タイタニック号の観光ツアー中に消息を絶った潜水艇「タイタン」について、アメリカの沿岸警備隊を中心に、2つの無人潜水機や哨戒機などが現場海域で捜索を続けている。沿岸警備隊は残る酸素の量から5人全員を救出できるリミットは22日朝(現地時間)までとみて捜索を急いでいる。
【映像】潜水艇「タイタン」救出なるか? アメリカ沿岸警備隊の活動拠点
捜索の最新情報について、沿岸警備隊の捜索拠点にいるANNニューヨーク支局の鈴木彩加記者に聞いた。
ーー捜索の進捗は?
捜索拠点から約1500キロ離れた先の大西洋に潜水艇「タイタン」が沈んだ現場がある。アメリカやカナダの軍・沿岸警備隊が航空機や潜水機など、あらゆる機器を投入して24時間態勢で捜索しているが、5人の救助に関する新たな進展は見られていない。
ーー潜水艇が沈んだ場所はどのくらいまで絞れている?
消息を絶ってからは手探りで探しており、水深が深いところにいるのか浅いところにいるのかもわからなかった。しかし、海の中から聞こえた「音」で希望が見えた。現在は、音が聞こえた範囲を集中的に捜索しており、同時に、その音が本当にタイタンから発生したものなのか分析を急いでいる。
ーー現場の天候は? 捜索にも影響が出るのか?
消息を絶った後の数日間は波が荒れていたが、捜索4日目を迎えた21日(現地時間)は、比較的落ち着いている。そのため、海面に浮上してきている破片などがあれば航空機で探すことができる状況になっている。
ーー現地メディアはどのように報じている?
アメリカメディアを中心に10社以上のカメラが並んでおり、いつどんな情報が入っても対応できるように備えている。現地報道では、3800メートルの深さにある船(タイタニック号)を見に行って消息を絶ったため、当初は「なかなか厳しいのでは?」という見方があったが、2日連続で「音」が聞こえたことで大々的に報道された。
専門家の中には「きっちり30分間隔で音が聞こえたことが大きなポイント。中に残されている人には探検の経験が豊富な人もいるので、危機に面した時の対処法がわかっている。酸素の量が少なくなるとどうしても大きな声を出したり、パニック状態になると酸素を大きく消耗する。冷静さを保つことが大きな鍵になる」とコメントする人もいる。
ーー残る酸素の量が焦点となっているが
間違いなく切迫した状況だ。タイタンが出発した時に96時間分あった酸素が「あと何時間、どのくらいでリミットを迎えるか」というのはあくまで推定のもの。4日目を迎え、冷静に対応できる専門家が潜水艇にいるとはいえ、沿岸警備隊は22日午前中(現地時間)にかけてが限界なのではないかと指摘されている。
ーー発見後の引き上げるに向けた準備も進んでいるのか?
引き上げについては、アメリカの海軍が準備を進めていて、すでに吊り上げられる装置をカナダの沿岸部に設置し、見つかり次第、次の工程に移れるように準備が進められている。とはいえ、まずタイタンを見つけることが必要。その上でタイタニック号と接触して何かに挟まっている、何かと絡まっているような状況も想定されるため、それらに対応できるフランスの無人探査機を積んだ船が間もなく到着する。
(「ABEMA NEWS」より)