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「定年」について語る郷ひろみさん=2023年6月13日午後2時59分、東京・赤坂、相場郁朗撮影
「僕に定年はないが、引き際はある」。歌手の郷ひろみさん(67)はそう話します。昨年放映されたドラマで、定年退職後に妻や子どもから疎まれる男性の悲哀と変化を演じた郷さんに、キャリアの積み重ね方や「引き際論」を聞きました。
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僕の場合、「定年」というものがありません。体験したことのない役で、ドラマはチャレンジでした。
放映後の反響は大きかったです。ただ、「身につまされたよな」という男性の声は聞かなかった。みんな素直には認められないんでしょうね。
主人公は、妻や子どもには間違いを認めにくい人でした。妻も子も年下ですからね。でも、最後には、素直に自分の非を認める「気づき」がありました。
僕も、色んな人に耳を傾けるべきだと、常々思っています。
僕にしかないキャリアや経験はあります。でも、ひけらかすと周りの人はひいてしまう。いざというときに「こう思うよ」と、自分の中から引き出されることが大切だと思います。
こうなりたい、ああなりたいと思うとき、人間はものすごく強い。でも3カ月経つと、気持ちが薄れてくる。そんなときは、やるんだという意識をもって、やり続けるしかない。
そうした思いが信念に変わる瞬間がある。僕は経験上、それを知っています。例えば、(郷さんの代名詞の)「ジャケットプレー」。何十年も前からずっと続けていて、自分のものにするのにも何十年もかかりましたが、今では「それはひろみさんのだよ」と言われるようになりました。
僕に定年はないです。でも引き際はあるでしょうね。決められたものはないので、自分で決めなきゃいけない。自分で決めるということは、毎日を一生懸命生きていないと決められない。
「人事を尽くして天命を待つ」という言葉がありますが、僕は毎日を一生懸命やった人だけが、最後に神頼みできると思っています。(島脇健史)
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ごう・ひろみ 1972年に「男の子女の子」でレコードデビューし、2022年にデビュー50周年を迎えた。23年6月7日にニューシングル「俺は最高!!!」をリリース。現在は大規模全国ツアー「Hiromi Go Concert Tour 2023 NEW INTENTIONS」を開催中。
朝日新聞社
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