韓国の尹錫悦大統領
韓国が不法占拠している島根県・竹島周辺海域で6月末、韓国軍が島の防衛を想定した定例訓練を実施したことが分かった。韓国軍当局者が7日、明らかにした。岸田文雄政権は同時期、韓国の「反日」暴挙に目をつぶって、金融危機時に外貨を融通する「通貨交換(スワップ)協定」を再開させることで合意したが、また隣国に舐められたのではないか。
【写真】19世紀のドイツ製地図に「竹島 日本領」の記載が
「竹島は歴史的事実に照らしても、国際法上も、明らかに日本固有の領土だ」「今回の韓国軍による訓練は到底受け入れることはできず、極めて遺憾だ」
外務省の船越健裕アジア大洋州局長は7日、在日韓国大使館の金壯炫(キム・ジャンヒョン)次席公使に、こう抗議したという。
韓国はこの訓練を年に2回程度行っており、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権では3回目。聯合ニュースによると、過去2回と同様に、小規模で非公開の形で行われた。海軍や海洋警察の艦艇が主だという。
「反日」暴挙が相次ぎ、日韓関係が冷え込んだ文在寅(ムン・ジェイン)前政権下では、空軍の戦闘機も動員して大規模訓練が行われ、竹島への上陸も公開された。今回は規模は小さいが、竹島の不法占拠を既成事実化する動きに他ならない。
そもそも、岸田政権は、韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射事件などのケジメも付けず、「関係改善」を建前に韓国に譲歩し続けている。
先月27日、輸出手続き上優遇する「グループA(旧ホワイト国)」に、韓国を再指定するための政令改正を閣議決定した。同29日には、都内での日韓財務対話で、通貨スワップ協定を約8年ぶりに再開させることで合意した。
同じ時期、韓国軍は竹島でこっそり防衛訓練をしていたわけだ。
朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「岸田政権の『譲歩外交』の結果だ。韓国はかつて、歴史問題などを持ち出して大声を出せば日本を押し込めると認識していた。安倍晋三元首相はこの構造を理解し、毅然(きぜん)とした態度を示し、成熟した外交を取り戻していた。尹政権は、実利を目当てに接近してきている。岸田政権で、外交が昔の悪いかたちに回帰してしまった。決意をもって国益を守らなければ、どんどん侵食される」と語った。