保険証廃止強行か延期か、板挟みの岸田首相の“弥縫策” マイナ問題に焦燥感「総裁選の再選戦略すら危うく…」

[ad_1]

岸田首相

【画像】「メディアは騒ぎ過ぎ」マイナンバーカードへの意見

 「わが国がデジタル後進国だったことにがくぜんとした」。首相が4日の記者会見で語ったのは新型コロナ対応での苦い経験だった。首相は当時、自民党の政調会長。給付金支給やワクチン接種システムでの混乱を振り返り、「『デジタル敗戦』を二度と繰り返してはならない」と力説した。

 ただ、デジタル化推進の障壁を政権自ら招いたことは否めない。

 そもそも政府はマイナンバーカードの取得は「任意」とする。それなのに生活に不可欠な保険証廃止は、低迷していたカード取得率を高めたい「下心」が透けていた。最大2万円分の「マイナポイント」の“ばらまき作戦”もあり、カードの取得率は急上昇。しわ寄せは、保険証との膨大なひも付け作業を担う自治体や健康保険組合に向かっていた。

 首相は普及策について「瑕疵(かし)があったとは考えていない」と述べたが、トラブルの根底に政府の焦りがあったことは明白だ。資格確認書の有効期限延長など政府が新たに打ち出した対策は、マイナ保険証への移行停滞につながる。「デジタル化の後退は避けられない」(公明党中堅)。性急な普及策が裏目に出た格好だ。

    □   □ 

 マイナ問題は政権の足元も揺さぶる。報道各社の世論調査では内閣支持率だけでなく自民党の支持率も下降。秋に衆院任期の折り返しを迎える中で、党内は衆院解散・総選挙を見据え、世論に過敏になっており、萩生田光一政調会長や世耕弘成参院幹事長からは「必ずしも期限にこだわる必要はない」などと延期論が公然と飛び出していた。

 政府内では実際、延期案も検討されたが、延期に必要な関連法の再改正は「野党の格好の攻撃材料」(自民ベテラン)。秋に見込まれる臨時国会の審議が紛糾し、政権の混迷ぶりがさらされるリスクを抱える。

 首相は「党側の意見を重く受け止めていた」(周辺)というが、「法改正はハードルが高い」として延期見送りに傾いた。

 一方で、首相はマイナンバーの総点検の結果を見極めると含みを残す。もっとも国民の不安払拭に至らず、保険証廃止の延期に追い込まれれば、「後手」との批判は免れない。首相のリーダーシップへの打撃は大きく、その影響は首相の衆院解散戦略だけにとどまりそうにない。

 岸田派中堅は早くも焦燥感を強めている。「来秋の総裁選の再選戦略すら危うくなる」

 (御厨尚陽、高田佳典)

西日本新聞

[ad_2]

Source link