3議席を6人が争った参院選兵庫選挙区は、維新現職の清水貴之氏(45)がトップ当選。公明新人の高橋光男氏(42)が続き、立憲民主新人の安田真理氏(41)との接戦を制した自民新人の加田裕之氏(49)が3番手に滑り込んだ。維新は票を伸ばし、県内での影響力拡大が期待される。公明も苦戦したが議席を確保。一方、自民は複数人区で最下位当選となる想定外の事態に、選挙戦略の見直しを迫られそうだ。(尾崎豪一)
唯一の現職の清水氏は、平成28年の片山大介氏の得票数を約4万票上回った。4月の大阪ダブル選で勝利した勢いを背景に、比例でも自民に次ぐ約47万票を獲得。維新幹部が終盤に続々と来県して無党派層や保守層に浸透した。前回と異なり、郡部にも足を運ぶ選挙戦で、猪名川町や播磨町などでもトップ得票となった。
高橋氏は、業界票獲得に向けて後援会長に日本港運協会の久保昌三会長を迎えたほか、菅義偉官房長官が加田氏ではなく高橋氏の応援に駆けつけるなど、自民党本部との連携を強化。公明の比例得票は28年から約5万票減の約32万票だったが、高橋氏は保守票を上積みし約50万票を獲得した。
加田氏は、憲法改正に積極的だった故鴻池祥肇氏の言葉を引用し後継色を前面にアピールした。しかし、情勢調査では自民支持層の多くが景気対策や社会保障政策を重視。「改憲姿勢を強調しすぎて一部の自民票が逃げた」と自民県連幹部が話すように、景気対策などを重視する層の離反を招き、苦戦につながった。
公明に約4万票差をつけられ最下位当選に終わった自民。県連幹部は「友好団体を公明に根こそぎとられた」と漏らす。自民は固い地盤を誇ってきた郡部でも苦戦。県連幹部は「情勢調査と実際の選挙をしっかりと分析したい」と話した。
一方、安田氏は、丹波篠山市や養父市、朝来市などの山間部でトップを獲得。連合兵庫の全面的な支援が受けられないなか無党派層に浸透したが、当選には至らなかった。共産新人の金田峰生氏(53)は、支持層の一部が安田氏支持に回ったとみられ、県内各地で票を伸ばせなかった。