第71期王座戦五番勝負の第３局が終盤に差し掛かり、藤井聡太竜王・名人が逆転で八冠制覇に王手をかけました。この大一番は、9月27日に愛知県名古屋市の「名古屋マリオットアソシアホテル」で開催されました。藤井竜王・名人は相居飛車の力戦を制し、2勝1敗の成績で王座獲得まであと1勝となりました。
永瀬王座の趣向
前回までの対局で1勝1敗となり、この第３局は両者にとって勝利に向けて重要な一戦でした。後手番の永瀬王座は、雁木の作戦を駆使しました。一方、先手の藤井竜王・名人は早繰り銀の速攻を仕掛ける一手を指しましたが、永瀬王座はその攻撃を避けるために７筋の歩をぶつける策略を用いました。この手は袖飛車の要領で先手の玉頭に嫌味をつけることができる実戦的な手です。
激しい攻防戦の展開
この局面では力戦形が展開され、両者ともに時間を慎重に投入しました。藤井竜王・名人は飛車を３筋に回し、永瀬王座の素早い反撃を受けました。永瀬王座は桂を跳ねて端攻めを実現し、盤面の左辺を制圧しました。さらに、盤上中央に香を据えて挟撃態勢を築きました。
終盤のエアポケット
駒割は互角ですが、玉の安全度の差が終盤戦において大きな要素となりました。終局直前の場面では、藤井竜王・名人が苦しい表情を浮かべる場面も見られました。しかし、藤井竜王・名人はついに手番を得て、卓越した指し手で王手をかける一手を指しました。この一手が結果的に勝負手となりました。永瀬王座は応じる手を誤り、王手に対して合駒を行いましたが、後悔することになりました。局後の感想戦では、代わりに節約的な手順を選択すべきだったとの意見もありました。
藤井竜王・名人が八冠制覇に王手をかける
実戦では、永瀬王座が飛車を手放し、攻撃力が低下してしまいました。その後も競り合いは続きましたが、藤井竜王・名人の指し手は冷静でした。終局時刻は20時32分で、永瀬王座が攻防の見込みがないと判断し、投了しました。藤井竜王・名人は2勝1敗となり、逆転で大一番を制しました。
藤井竜王・名人は局後のインタビューで、「終盤は負けの形だと思っていた」と語りました。一方、永瀬王座は「第一感は歩の合駒だったが、本譜の手順がエアポケットに入ってしまった」と振り返りました。藤井竜王・名人の八冠制覇か、永瀬王座の防衛か。注目の第４局は10月11日に京都府京都市の「ウェスティン都ホテル京都」で行われます。
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