おひとりさま高齢者 生活保護レベルになる未来

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「おひとりさま高齢者」の貧困問題が深刻化していく――。今回は、国際医療福祉大学大学院教授の稲垣誠一さんに、この問題について聞いてみました。女性の高齢者や単身の高齢者が直面する貧困問題は、日本社会の責任であり、政府が対応すべき問題なのです。

「女性」「単身」が問題

以前から、単身の高齢女性の貧困問題が指摘されてきました。稲垣氏は、個人単位で将来予測を行う手法で高齢者の貧困率を推計しました。相対的貧困率ではなく、生活保護の基準を貧困ラインとしました。結果として、1人暮らしの高齢者の貧困率が高まることが分かりました。特に未婚や離別の女性の貧困率は今後急激に上昇すると予測されています。

なぜ女性なのでしょう

女性が単身高齢者の貧困に直面する理由は、非正規労働の多さや男女の賃金格差にあります。低賃金での勤務経験が多いため、年金も低くなってしまうのです。また、一度退職すると再就職が難しくなる現実も女性が直面する問題です。

未婚や離婚した女性の危機

未婚や離婚の女性は特に貧困のリスクが高まります。遺族年金の受給資格がないため、死別の場合よりも貧困に陥りやすいのです。離婚の場合も年金分割はあるものの、遺族年金ほど手厚くありません。未婚の場合はまったく関係ありません。未婚や離婚の女性が増えることで、今後高齢女性の貧困率はさらに上昇すると予測されています。

政府の責任

現在の年金制度は、夫婦で生涯連れ添うことを前提としています。そのため、遺族年金制度も夫の終身雇用を想定しています。しかし、現実の社会は大きく変化しています。政府が「女性活躍」と言っているにも関わらず、男女平等が実現していないことを示しています。

この問題に対しては、日本社会全体の責任とともに政府の責任もあると思います。現在の社会の変化に対応していない年金制度を見直すべきです。自己責任ではなく、政府が責任を持つべきです。

おひとりさま高齢者の貧困問題は、単身の女性高齢者の問題として表れています。今後ますます深刻化するこの問題に対して、政府が十分な支援策を講じることが求められます。

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