【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】萩生田報道に違和感


櫻井よしこさん

 7月26日、私の主宰するインターネット番組「言論テレビ」に自民党幹事長代行、萩生田光一氏が出演した。その時の氏の発言をめぐる一連の報道には印象操作の疑念を拭い得ない。

 27日、時事通信は、萩生田氏が「憲法改正の国会発議に向け大島理森衆院議長を代える可能性に言及した」「強引に改憲を進めようとする姿勢を示したものとして野党側が反発しそうだ」と報じた。

 30日、「朝日新聞」の大久保貴裕記者は「萩生田氏の議長交代論 波紋」の見出しで、萩生田氏が「衆院議長交代論」を「不満をにじませ」展開したかのように報じた。が、番組の当事者である私は氏が不満をにじませた場面などなかったと思う。

 朝日はまた政権幹部が「『議長の人事に口を出すなど処分ものだ』と怒りをあらわにした」、共産党の小池晃書記局長も「『議会制民主主義の根本をひっくり返すような発言だ』と反発した」とも報じた。

 その他のメディアもコメントした人々も、言論テレビの番組全体を本当に見たのか。見ていたら、こんな解釈にはならないだろう。そこでまず、事実関係を紹介する。

 参院選が終わり、国際情勢激変に直面し、憲法改正は喫緊の課題だという問題意識で7月26日の番組に臨んだ。論者は萩生田氏に加えて産経新聞前政治部長で政治ジャーナリストの石橋文登氏らである。選挙結果は自民、公明の与党にとって、「改憲勢力」が国会発議に必要な3分の2に4議席不足という微妙な勝利だった。憲法改正には幅広い協力が必要となったことを萩生田氏は歓迎して語った。

 「憲法は51対49で決めるものではない。マイクの奪い合いをしながら投票して、国民にその案を示すなど考えていない。最大公約数で、静かな環境で野党の皆さんともまとまるところを国民の皆さんに示していきたい」

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