イランの首都テヘランで、ヒジャブ(イスラム教の女性の頭部を覆う衣装)を着用していなかったとして、地下鉄で警察に暴行を受けたという事件が話題となっています。この事件は、アミニ事件と類似点が多く、注目を集めています。この記事では、事件の詳細とその背景について探ってみましょう。
「ヒジャブを着用せずに地下鉄に乗車」 少女が脳死の状態に
イランの首都テヘランで、ある少女がヒジャブを着用せずに地下鉄に乗っていたところ、道徳警察と呼ばれる指導巡察隊とのやり取りがありました。その後、少女は意識を失い、脳死状態に陥ったことが明らかになりました。写真には、イランの国旗が掲示されています。
ガラワンドさんの状態は悪化し、脳死が確定
ロイター通信によると、イラン国営IRINN放送は、ガラワンドさんの健康状態が悪化し、脳死であることが確実であると伝えています。医療陣が必死に治療していましたが、状態は改善せず、悲しい結果となりました。
事件の背景について
ガラワンドさんは、クルド系の方で、今月1日にテヘラン南東部の地下鉄の駅で友人と一緒に列車に乗っていたところ、意識を失い倒れてしまい、病院に運ばれました。地元のクルド族人権団体ヘンガウによれば、ガラワンドさんはヒジャブを着用せずに列車に乗ったことが理由で警察に制止され、女性警察官に突き飛ばされて頭を強く打ちつけ、意識を失ったとされています。団体は、ガラワンドさんは昏睡状態で病院に運ばれ、現在は厳重なセキュリティの下、家族の面会も拒否されていると主張しています。
一方、イラン当局は国営メディアIRNA通信を通じて、この事件には言語的・肉体的な葛藤はなかったと主張しており、ガラワンドさんが倒れたのは低血圧のためだと述べています。しかし、公開された防犯カメラの映像には、ガラワンドさんが友人と列車に乗っており、内部で倒れたガラワンドさんを人々が支えてプラットフォームに出てきている様子が映っています。ガーディアン紙は、この映像は客室内部が映っていないだけでなく、編集も加えられていると指摘しています。
アミニ事件との類似点
この事件には、1年前のアミニ事件と類似点が多いとの指摘もあります。昨年、クルド系のイラン人である22歳のマフサ・アミニさんが、ヒジャブを正しく着用していなかったという理由で指導巡察隊に逮捕され、調査中に亡くなりました。遺族はアミニさんの遺体に殴打の痕跡があることを明らかにしましたが、イラン警察は彼女が基礎疾患により亡くなったと主張しました。その後、アミニさんの死亡事件は大規模なヒジャブ反対デモにつながりました。アムネスティ・インターナショナルなどの団体によると、反政府デモの結果、少なくとも500人が死亡したとされています。
このように、ヒジャブに関する問題はイラン社会において深刻な問題となっています。今後の動向に注目が集まります。
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