伊東市・田久保市長、学歴詐称疑惑で辞意撤回:市民の懸念と混乱の深層

静岡県伊東市の田久保眞紀市長(55)が、学歴詐称疑惑の中で表明していた辞意を撤回し、市長職に留まる意向を示しました。この異例の展開は市政に大きな混乱をもたらしており、長年伊東市に在住し、俳優・アーティストとして活動する関口知宏氏(53)も、一市民としての見解を表明しています。

「いつか必ず露呈する嘘」:関口知宏氏が語る市民の懸念

「伊東といえばハトヤホテル」という長年のイメージが、「伊東といえば田久保市長」という事態に変わってしまったと、関口氏は一市民としての強い恥ずかしさを露わにしています。この騒動の渦中にある田久保市長は、かつて伊豆高原メガソーラー設置計画への反対運動で頭角を現し、今年5月の市長選では42億円を投じる新市立図書館建設計画に反対し初当選。その反骨精神から「伊東のジャンヌ・ダルク」という異名まで取っていました。

しかし、今年6月に市議会議員全員に届いた匿名文書が、事態を急変させます。その文書には「東洋大学卒ってなんだ! 彼女は中退どころか、私は除籍であったと記憶している」と記され、市長の学歴疑惑に火が付きました。関口氏はこれに対し、「利権と戦う人物が、いつか必ずバレる学歴の嘘をつくなど考えられない。いずれ政敵に追及されるのは明らかだったはずだ」と疑問を呈しています。

伊東市議会で辞意撤回を表明する田久保眞紀市長の様子。学歴詐称疑惑が市政に混乱をもたらしている。伊東市議会で辞意撤回を表明する田久保眞紀市長の様子。学歴詐称疑惑が市政に混乱をもたらしている。

市民が見誤ってはならない「問題の本質」

立教大学のOBでもある関口氏は、田久保市長が繰り返す学歴に関する主張にも疑念を抱いています。「市長は『故意ではないから罪はない』と言わんばかりだが、たとえ故意でなくとも、学歴を偽った事実は変わらない。その点に真摯に向き合わず、逃げ切ろうとする姿勢こそが『市長の任にあらず』ということを示している」と指摘します。

20代から東京でテレビや映画を中心に活動してきた関口氏が伊東市に移り住んだのは、30代に入ってからでした。「東京の慌ただしい生活が嫌になり移住したが、青空の下を風が吹き抜け、夜には星空が広がる伊東は、いつも下を向いていた東京とは大きく異なる街だった」と語ります。

当初は一時的な避難先のつもりだった伊東市は、今では「安住の地」となりました。その地で起こった今回の「トリックスター」とも言える市長の言動に対し、関口氏は強い危機感を抱いています。「言葉を左右する市長に誠意がないのは明らかであり、私を含めた伊東市民は問題の本質を見誤ってはならない」と訴えます。そして、その本質とは、「彼女の言動が伊東を良くしたいと考える人間のものか否か、ということだ」と強調しました。これは、ひいては市長の業績や掲げる政策の真偽にも及ぶ重大な問題であり、市民一人ひとりの事実認識力が問われていると結んでいます。

参考資料