「偏差値70以下は人間じゃない」“東大理3”に少年が囚われるまで 東大前3人刺傷事件

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被告の少年の顔は青白く、メガネをかけていて、まさに受験勉強中の高校生を彷彿させる。

事件当時17歳で高校2年生だった少年(19)は去年1月、東京大学前の路上で、大学入試共通テストの受験生ら3人を刺した殺人未遂の罪などに問われている。
被害者のうち1人は、事件との因果関係は定かではないが、その後亡くなっている。

県外の進学校に落ち…「“背水の陣”で理3目指す」

少年は、4人兄妹の長男。証人として出廷した両親によると「物静かな子」だったという。
両親は障がいを持つ妹と不登校の弟の面倒を見ることで精いっぱいで、少年に目を向けることができなかった、と涙ながらに証言した。いわゆる教育パパやママではなかったが、良い成績をとれば少年を褒め、進路についても本人の意思を尊重した。
次第に、少年にとって「良い成績をとること」が家庭での存在感、ひいては自己肯定感を高める手段になっていった。

少年は中学2年の時に海外で活躍する医師の姿をテレビで見て、医学部を目指すようになったという。中学では常に学年上位の成績。高校受験では複数の有名校を受験した。
しかし、親しかった友人らが受かった県外の進学校には、落ちた。

この時の心情を少年は「県外の私立に落ちたのは自分だけ。その醜態、自分が許せず、汚名返上、帳消し、挽回してやるという気持ちだった」と法廷で語った。

また、同じ頃、好意を持っていた成績1位の女性に告白し、フラれたことも追い打ちをかけた。
「女性はサッカーがうまいとか顔がいいとかそんな奴がいいんだという妬みから、自分は勉強以外何もないので、勉強で挽回する。一人の女に好かれるよりも、肩書きで上にいって全員認めさせればいいという驕った考えに至り、理3を目指すようになった」という。

高校入学時の自己紹介では、「背水の陣。自分で自分を脅して心を鬼にして勉強し、理3という目標から逃げられないようにするため」東大理3を目指すことを宣言した。

高校受験の失敗と失恋という挫折が重なり、勉強にのめりこんでいった少年は、周囲にも「学歴」へのこだわりを伺わせる発言を繰り返すようになる。

この少年の裁判員裁判が始まりました。東京大学の理学部に固執し、一方的に孤立していく様子が法廷で明らかになる予定です。

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