消防団員数の減少に対策が必要――若者や女性の参加促進、報酬引き上げや保険料負担

日向市消防団の女性消防部の団員たち

地域の防災力を支える消防団員の人数が減少傾向にあることが宮崎県でも問題視されています。現在の団員数は1万3209人で、定数である1万5355人に対しての充足率は86%にとどまっています。このため、各地域で団員確保に向けた対策が進められています。県消防保安課では特に「若い人や女性も団員として参加してほしい」と呼びかけています。

7割が被雇用者

宮崎県内では全26市町村に1つずつ消防団が存在し、団員たちは火災や災害が発生した際に自宅や職場から現場に駆けつけ、消火や救助活動を行います。

昨年の台風14号の際に発生した浸水被害においても、各地で消防団が出動しました。ある40代の女性は自宅が浸水寸前であった際に駆けつけた消防団員によって車を高台に移動してもらい、被害を免れることができました。団員は浸水した地域で80代の義父や小学生の長男をおんぶして避難させたのです。女性は「おかげで助かった」と感謝の気持ちを述べています。

消防団員の多くは普段は会社員や自営業など他の仕事を持っており、平常時には訓練や防災啓発活動、救命講習会などに取り組んでいます。彼らは非常勤特別職の地方公務員として位置づけられています。

全国での団員減少傾向

宮崎県内だけでなく、全国的にも消防団員数は減少しています。総務省消防庁の調査によると、全国の団員数は前年比で2万908人減少し、今年4月1日時点で762,670人となりました。宮崎県内でもこの10年で団員数は約2,000人減少しています。

宮崎県内の団員のうち約7割はサラリーマンや他の雇用者であり、通勤や業務に忙しくなかなか地元の人々と交流する機会がありません。関西大学の永田尚三教授(消防・防災行政、危機管理行政)は、このような事情が団員減少につながっている可能性があると指摘しています。また、消防本部や消防署などの常備消防機関が充実してきたことも、消防団の縮小に一因と考えられています。

一方で、近年は水害などの激甚化も懸念されています。消防団は災害時に住民の避難誘導なども行っており、団員数の減少は災害時の共助体制の衰退につながる可能性があります。

図表:宮崎県内の消防団員数

(出典:Yahoo!ニュースから引用)

以上が宮崎県内の消防団員数の減少に関する現状と課題です。若い人や女性も積極的に参加できる環境を整えるためには、報酬の引き上げや保険料の負担軽減などの具体的な対策が求められます。地域の防災力を高めるためにも、私たち一人一人の意識と行動が重要です。

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