スウェーデンのNATO加盟に土壇場の抵抗 トルコ、外相理事会で

スウェーデンのNATO加盟への道は、トルコとハンガリーの反対により土壇場で阻まれた。北大西洋条約機構(NATO)の外相理事会がブリュッセルで開催されたが、昨年5月に加盟申請をしたスウェーデンの正式加盟は実現しなかった。ウクライナ戦争の長期化やロシアの脅威増大に焦りを感じている加盟国の中で、加盟の最後の2ヶ国であるトルコとハンガリーの批准が完了しなかったことが原因だ。

NATOのストルテンベルグ事務総長は外相理事会後の記者会見で、「スウェーデンの加盟は同国およびNATO同盟国にとって良いことだ」と述べ、早期の加盟を望んでいると強調した。

ハンガリー政府高官は、「わが国が最後に批准することはない」と繰り返し主張しており、加盟国の中ではトルコが批准に動くかどうかが最終的な流れを決めると見られている。

トルコのエルドアン大統領は、スウェーデンが国内で少数民族クルド人の非合法武装組織「クルド労働者党」(PKK)の活動を容認しているとして、スウェーデンのNATO加盟に難色を示してきた。しかし、今年7月になって急転直下でスウェーデンのNATO加盟に同意する意向を表明した。

エルドアン大統領は10月23日に批准のための議定書をトルコ議会に送付したが、議会では一部の議員が引き続き加盟に反対しており、採決が行われていない。

スウェーデンはトルコの要請を受けてテロ対策の強化に取り組んでおり、閣僚級会合を毎年開催することや、トルコへの武器禁輸の緩和などの合意もしている。

NATOはトルコの要請に応えて、テロ対策特別調整官のポストを新設した。また、オランダもトルコへの武器輸出規制を解除し、カナダも無人機部品の輸出規制解除に向けた協議を再開するなど、NATO全体でトルコの批准を促す動きが活発化している。

スウェーデンのビルストロム外相は、今月29日のNATO外相理事会でトルコのフィダン外相と会談し、「トルコは数週間以内に批准するだろう」との見通しを伝えられたと報告した。

ただし、トルコ外交筋はロイター通信に対し、批准の時期については明言しなかったと否定しており、具体的な批准時期は見通せない状況だ。議会の与党がさらなる譲歩を引き出すため、採決の遅延を図っている可能性も指摘されている。(ロンドン 黒瀬悦成)

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