出没相次ぐ“冬眠しないクマ”北海道でドローン追跡…「1度上昇で冬眠期間6日短縮」

ドローン追跡

12月に入っても、クマの被害が相次いでいます。北海道札幌では、住宅地の近くで「冬眠しないクマ」をドローンで追跡する試みが行われました。この新しい調査方法により、クマの冬眠期間が6日も短縮できる可能性が示されました。

冬眠しないクマをドローン追跡

北海道ではヒグマの出没が相次ぎ、緊迫した状況が続いています。札幌市では、市職員が初めてドローンを使って上空からの調査を行いました。この調査の目的は、市街地の近くに潜むヒグマを発見することです。札幌市の熊対策調整担当である清尾崇係長は、「冬眠の時期にクマの動向を調査することで、町中の近くで冬眠する傾向があるかどうか、または山の奥にいるのかを探る目的」と述べました。

緊迫するヒグマ被害

北海道全域で住宅地に進入するヒグマが相次いでおり、札幌市でも冬になってから出没情報が急増しました。教員や市職員が見守りを行い、児童たちは登校時にクマ対策用の鈴を身に着ける緊急事態となっています。札幌市南区は市街地が山間部に囲まれているため、危険度の高いエリアが多いことが「ハザードマップ」から分かります。

ハザードマップ

住民の声も寄せられており、夜間の歩行が怖くなってしまったり、小学生が鈴を鳴らして歩くなどの対策が行われています。

“冬眠しないクマ”ドローン初調査

札幌市南区で行われたドローン調査では、森の中にいる生物が捉えられました。しかし、それはヒグマではなくシカでした。約1時間にわたる調査で、住宅地近くの森に潜んでいるヒグマの姿を確認することはできませんでした。札幌市の熊対策調整担当である清尾崇係長は、「町中の近くで冬眠している場合、春に冬眠から目覚めるとすぐにまた町中に出現する恐れがあるため、事前に対策を取らなければならない」と述べました。

今後は市街地近くに生息するヒグマの状況をより把握し、生態調査エリアの拡大などの対策を検討していく予定です。

北海道大学大学院の獣医学研究院、下鶴倫人准教授は、「一般的には12月中に冬眠に入ることが普通ですが、冬眠の開始が遅い個体も一定数存在する可能性があります。海外では外気温が高い冬ほど冬眠期間が短くなると言われています。北海道においても似たような傾向があると考えられますが、具体的な外気温が冬眠の開始時期にどの程度影響するのかはまだ十分に解明されていません」とコメントしています。

この記事の出典元: 日本ニュース24時間