1・2審で食い違う国家免除とは…慰安婦判決、永久未解決で残るのか

慰安婦少女像

旧日本軍の慰安婦被害者たちは、韓国の裁判所による判決を通じて日本政府から賠償を受ける権利を確保しましたが、日本政府は韓国司法の裁判管轄権自体を認めておらず、実質的な賠償は遠のいています。韓国と日本の未来協力が本格化する中で、過去史被害者に司法的な正義を実現することはまだ未完のままです。

1・2審で分かれた「国家免除」とはなにか

慰安婦問題に関連する国家免除問題は、韓国の司法機関内でも互いに相反する判決が下されるほど矛盾した問題です。先月、ソウル高等裁判所は慰安婦被害者16人に1人当たり2億ウォンの損害賠償金支払いを日本政府に命じる判決を下しました。この判決は日本政府による上告がなかったため、9日に確定しました。日本政府は「国家免除」という理由で裁判手続きに一切参加せずました。国家免除とは、特定の国の司法機関が第三国政府を司法的に判断し罰することが主権侵害に当たるという国際法的原則です。

「司法の正義」の実現は可能なのか

今回の判決は、司法機関が慰安婦被害者の苦しみを認識し、日本政府の責任を認めたという点で意義がありますが、実際に賠償金の支払いを命じる手段が存在しないという問題があります。

2018年の日本の戦犯企業に対する判決では、被告が賠償金の支払いを遅らせた場合、強制現金化措置が取られました。しかし、慰安婦判決の場合、被告は企業ではなく日本政府です。現金化措置を実施するためには、日本政府の国内資産を強制的に売却する必要がありますが、在韓日本大使館などの外交資産は「外交関係に関するウィーン条約」によって保護されており、強制執行の対象とされない可能性が高いです。

現金化可能な日本政府の財産を見つけたとしても、それを進めることは韓日両国間の外交問題を引き起こす可能性があります。韓国政府は「国家免除」の原則に束縛されています。例えば、ベトナム戦争の民間人虐殺に関連し、韓国政府の損害賠償責任を認めたソウル中央地裁の判決が代表的な例です。当時、裁判所はベトナム人に3100万ウォンの支払いを命じました。

「慰安婦合意尊重する」がストップした履行

慰安婦判決と関連して、韓国外交部は数回にわたり「2015年の韓日慰安婦合意を国家間の合意として尊重する」という立場を明確にしました。両国が合意を通じて「慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決」に同意している以上、慰安婦への損害賠償に関して日本を圧迫する意図はないとされています。日本も判決を認めていませんが、感情的な反応を抑えるのは、両国の対立を避ける意思表明と解釈されています。

ただし、慰安婦合意の尊重という公式の立場とは異なり、この5年間、合意の精神は履行されていません。2018年11月、文在寅政権は「和解・癒やし財団」を解散する方針を決定しましたが、合意そのものは曖昧な立場で破棄されませんでした。財団の解散手続きは完了していますが、法的な清算手続きはまだ終わっていません。日本の出資金に対する処分計画書の作成と執行が必要です。

外交関係者は「韓国政府は慰安婦合意を尊重すると言っていますが、実際には合意を隠蔽して何も進めていません。慰安婦判決に続く国内的な課題として、被害者を説得し、名誉と尊厳を回復させるためにも、合意の成果である和解・癒やし財団の曖昧な法的状態を終わらせ、日本の出資を合意の履行に活用する必要があります。