俳優から一転、事故で車いす 滝川英治さんはリンゴを描き続ける

ドラマ撮影中の事故により脊髄を損傷し、車いす生活を送る俳優の滝川英治さんが、自身のイラスト作品展「口火」を開催します。展覧会は1月16日から24日まで横浜市港北区の障害者スポーツ文化センター横浜ラポールで、また1月13日から21日まで同市都筑区の商業施設港北TOKYU S.C.でも行われます。滝川さんは、口でペンをくわえて描き続けている作品の多くにリンゴを登場させています。その意味とは一体何なのでしょうか。

事故後の波乱万丈な人生

滝川さんは大学在学中に俳優デビューし、CM出演などで活躍していました。しかし、2017年に自転車事故に遭い、病院で目を覚ますと車いす生活が始まっていました。最初の3カ月は寝たきりでしたが、その間に自身の将来を考えたり、物語を作り出して絵にしてみようと思い立ちました。最初はうまく描けなかったものの、徐々に周囲の人々から「面白いね」と言われるようになり、滝川さんの心も変わっていきました。

リンゴに込めた思い

滝川さんの絵やイラストには、ほぼ必ずリンゴが登場します。これには特別な思いが込められています。亡くなった父が滝川さんにリンゴを届けてくれたことがあり、その優しさが滝川さんの仕事復帰への背中を押してくれました。滝川さんはリンゴを愛に例える一方、優しさが重荷になり自身を責めることもありました。困難や絶望もリンゴに込められているのです。

絵を描き続ける意義

事故から6年が経ち、滝川さんは言います。「何度もはね返されて、下を向きそうになったこともあった。それでも諦めず、人は何度でもはい上がることができることを証明したい。絵を描き続けたことを誇りに思っている」と。展覧会では、これまでに描いてきた作品と新作を合わせて約35点が展示されます。「口火」というタイトルは、物事が起こるきっかけを意味しています。滝川さんは「自分が口火を切っていくことで、世の中の固定観念に新しい風を吹かせることができると思う」と力強く語りました。

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