「業者の倫理観欠如」 今月開通予定のトンネル、工事全面やり直しへ…工期は2年か

和歌山県串本町と那智勝浦町をつなぐ八郎山トンネルの工事に問題が発覚しました。県が設置したトンネル技術検討委員会が、第3回委員会を開催しました。調査の結果、トンネル内部を支えるアーチ状のH型鋼「支保工」の大部分が正確に設置されていないことが分かりました。そのため、「掘削以外の工事を全面的にやり直す」という方針が決定されました。工期は約2年と予想されています。

施工不良の調査結果

八郎山トンネルの工事には、天井のコンクリート壁の厚さ不足などの問題も判明しました。コンクリート壁6カ所を取り外し、支保工をチェックしたところ、設計位置からずれて設置されていることも判明したのです。調査の結果、ほぼ全ての支保工が正確な位置に設置されていないことが確認されました。

復旧方針

八郎山トンネル技術検討委員会は、復旧方針として「内部のコンクリートを取り除き、すべて新しい支保工を所定の位置に正確に設置し直す」と決めました。つまり、掘削以外のほぼ全ての工事をやり直すことになります。

原因究明と対策

施工不良の原因として、測量の管理不足やコンクリート壁の厚さや支保工の設置位置の確認不足が指摘されています。検討委員長の大西有三・京都大名誉教授は、「技術力不足で測量機械の使用方法を理解していない状況があり、設計通りの厚さのコンクリートを作っていないなど、倫理観の欠如がある」と話しました。

今後の展開

県の担当者は、工事のずさんな状況を確認し、その粗雑さに失望しています。地元の方々には大変申し訳ないと述べています。

八郎山トンネルは、令和2年9月に着工し、4年9月に工事が完了する予定でした。開通予定は今年12月でしたが、照明設置工事の際に施工不良が発覚しました。県は、共同企業体の浅川組と堀組について入札参加資格停止処分を実施しました。今後の工事費用は、両社が負担することとなります。

八郎山トンネルの工事全面やり直しは、地元の方々にとっては辛いニュースですが、安全性と信頼性を重視する取り組みとして受け入れていただければと思います。

参照リンク:日本ニュース24時間