岸田首相の戦いに絶望… 地方選惨敗、パー券疑惑が再び浮上

岸田文雄内閣はますます支持率が低下している。報道各社の調査では、支持率が10%台にまで落ち込んでいると報じられている。政権支持率と自民党支持率の合計が50ポイントを下回ると、政権の不安定化や運営の厳しさを指摘する「青木の法則」に該当する調査結果も出ている。さらに、東京地検特捜部による自民党派閥のパーティー券疑惑への強制捜査が追い討ちをかける可能性もある。ジャーナリストの鈴木哲夫氏はリレー連載「回顧2023」で、地方選挙で自民党候補の惨敗が続くなか、「岸田首相では来年の地方選挙や次期衆院選に勝てない」という絶望的な声に迫っている。

自民党の危機

「政権が倒れるのは野党ではなく、自民党の地方組織だ」と元自民党選対幹部議員は危機感を抱いている。広島でのG7サミット以降、内閣支持率は下がる一方で、政治資金パーティーの裏金問題が浮上しました。岸田首相は政権の浮揚を図るためにバラマキ政策や政治資金規制法改革などを推進するでしょうが、「選挙力の低下によって岸田首相が党内での支持を失いつつある」と元幹部議員は指摘しています。

地方選挙の惨敗

2023年に行われた地方選挙では、自民党が敗北し苦戦を強いられました。立川市長選では自民党推薦候補が元立憲民主党都議に敗れました。10月には都議補選が行われ、都民ファーストと立憲民主党の候補者が当選し、自公推薦候補は落選しました。同じく10月22日に行われた所沢市長選挙では自公推薦の現職が落選し、宮城県議選では自民党候補5人が落選し、自公合わせて過半数割れとなりました。11月の青梅市長選挙でも自公推薦現職が敗北しました。福島県議選でも自民党は改選前から2議席減で単独過半数割れとなりました。都市部だけでなく地方でも敗北が続いています。

「地方選挙では物価高や増税が争点となっています。商店主たちは『今回は岸田さんを支持できない。彼に投票するつもりはない』と言われています。地方での頑張りをしても、国政の重みが票に反映される実感がないのです」と自民党宮城県連幹部は語りました。

特に東京での自民党の状況は深刻です。自民党は3回連続で敗北しています。東京23区の自民党区議からは以下のような声が聞かれます。「朝の駅頭演説では『お前も増税メガネと同じか?』と真顔で言われます。国政への批判は東京の地方選挙に直結しているのです。状況は最悪です」

再来年に地方選挙が迫る

実は、来年は全国で540以上の地方選挙が行われる予定です。全国の地方組織は困難な選挙状況に直面しており、その声は党本部や国会議員らにも届いています。2001年、支持率が低迷した森喜朗政権は、東京や熊本などの都連や県連を抱える地方組織によって追い込まれました。地方組織は総裁選前倒し運動を展開し、政権にとどめを刺しました。来年の地方選挙はまさに地方組織にとっての「再来年」となる可能性があります。

鈴木哲夫(すずき・てつお)は福岡県出身のジャーナリストであり、早稲田大学を卒業しました。テレビ西日本の報道部やフジテレビの政治部、日本BS放送の報道局長などを経て、現在はフリージャーナリストとして活動しています。著書には『安倍政権のメディア支配』(イースト新書)、『戦争を知っている最後の政治家―中曽根康弘の言葉』(ブックマン社)、『石破茂の「頭の中」』(同)などがあります。