江川紹子さんの証言:警察の失敗による犠牲

江川紹子さん

軍事転用可能な機器を無許可で輸出したとして逮捕・起訴された「大川原化工機」の社長らが、国と東京都に計約5億7千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁で出ました。判決は、警察の捜査が不十分であったことを指摘し、逮捕・起訴を違法と認め、国と東京都に計約1億6千万円の賠償を命じたのです。

この判決に関して、刑事司法に詳しいジャーナリストの江川紹子さんに話を伺いました。

警察の立ち止まらない捜査姿勢に疑問

警視庁公安部は、立ち止まるべきだったにもかかわらず、捜査を進めました。さらに驚くべきことに、現職警察官が「捏造」という言葉を使用したのです。これは前代未聞のことです。部内でさえ、この捜査の適切性について疑問を抱く声は多かったのではないでしょうか。組織や上層部は、これらの意見を無視して進めたのでしょう。

「警察庁長官銃撃事件で学ぶべきだった」という類似の事例

1995年に発生した警察庁長官銃撃事件でも、公安部は具体的な証拠もないにもかかわらず、オウム真理教の犯行説に固執しました。結果として事件は未解決のまま公訴時効を迎え、最終的にはオウムの後継団体から訴えられることになりました。裁判において国は敗訴し、賠償金を支払うことになりましたが、その賠償金は税金から出ています。

本来、この時に学ぶべきだったはずです。無理な方向性でも、組織や上層部が最初の説を固執し、証拠や人権を無視して突っ走ること。今回の事件の構図も類似しており、同じ過ちを繰り返している印象があります。

同じような事態を防ぐためにも、外部の目を入れて検証を行う必要があります。単に「警察の失敗」と終わらせるのではなく、何が問題だったのかを検証し、繰り返しを避けるべきです。

※この記事は日本ニュース24時間のオリジナル記事です