敵地潜入!「最強部隊」支える過酷な訓練◆陸自「第1空挺団」(2)

陸上自衛隊習志野駐屯地の正門

空挺部隊「第1空挺団」は、味方のいない敵地に降下・潜入し、さまざまな任務を遂行します。陸上自衛隊でも最も優れた部隊として知られており、その訓練は非常に過酷です。しかし、入団を目指す若手も絶えません。この記事では、第1空挺団の訓練について紹介します。

精鋭無比の精神

第1空挺団は千葉県船橋市の習志野駐屯地を拠点としています。空挺団には第1だけが存在し、第2や第3はありません。約1900人の隊員からなるこの団のモットーは、「精鋭無比」と「挺身赴難」です。空挺団の隊員のほとんどは、厳しいサバイバル訓練を経て「空挺レンジャー資格」を取得しています。

訓練の現場では、降下作戦に使われる各種の装備やパラシュートの訓練が行われています。パラシュートの訓練では、使用後のパラシュートをきちんとたたむ練習も行われます。実戦ではパラシュートを使い捨てることもありますが、訓練では全て回収されます。

体力自慢の中から逸材選抜

第1空挺団には全国から志願者が集まります。身長や体重などの体格に加えて、懸垂や持久走、筋力などの基準をクリアした逸材ばかりです。基本降下課程では、約5週間にわたって体力トレーニングと共に、パラシュートの取り扱いや降下姿勢などを習熟します。合格者のみが、「空挺き章」と呼ばれるパラシュート型の勲章を手に入れることができます。

基本降下課程は年に2~3回行われ、各回約100人の訓練生が参加します。しかし、訓練中の怪我や恐怖心によって、一部の訓練生が「適性なし」と判断されることもあります。女性でも、過去に1人だけが合格して団員になったとのことです。

飛び出し訓練は、最も怖い11メートルから

この日、跳び出し塔での訓練が行われていました。高さ11メートルは人間が最も恐怖を感じる高さだそうです。訓練生は「降下」の号令がかかると、勢い良く前方に飛び出します。地面に飛び降りる際は、足場に後頭部を打つ危険性があるため、思い切って前に飛び出さなければなりません。訓練生はパラシュートのフックをケーブルに引っ掛けてジャンプします。その後はハーネスにつかまって滑降していきます。この訓練では、一歩を踏み出せずに失格となる訓練生もいるそうです。

訓練生は「いち降下っ!にい降下っ!さん降下っ!よん降下っ!」と叫びながら、ケーブルを滑降していきます。このカウントは、パラシュートの不具合を見極めるための練習です。飛び出してから4秒経ってもパラシュートが開かない場合、不具合があるとされます。実際の降下では、予備のパラシュートを使わなければ地面に衝突してしまうため、即座に予備を開く必要があります。

なお、記者も飛び出し塔での訓練を体験したことがありますが、本当に勇気が必要でした。防衛大臣も飛んだと聞いて気軽に申し込んだのですが、後悔ばかりしています。

記事の引用元リンク:日本ニュース24時間