安倍晋三首相(自民党総裁)は11日に行う内閣改造・党役員人事で、萩生田光一幹事長代行と西村康稔官房副長官を初入閣させる方針を固めた。西村氏は経済再生担当相での起用を検討している。江藤拓首相補佐官も農林水産相で初入閣する見通しだ。加藤勝信党総務会長は再入閣し、後任に鈴木俊一五輪相を起用する方向で調整している。
萩生田氏は首相の最側近として知られ、文部科学政務官、党総裁特別補佐、官房副長官などを歴任。西村氏も官房副長官として首相を支えてきた。いずれも首相の出身派閥の細田派(清和政策研究会)に所属する。
鈴木氏は麻生太郎副総理兼財務相の義弟で、父は善幸元首相。首相は二階俊博幹事長と岸田文雄政調会長の留任を決めており、党三役が固まった。甘利明党選対委員長は交代し、党税制調査会長への就任が内定した。
首相は茂木敏充経済再生担当相を外相に、河野太郎外相を防衛相にそれぞれ横滑りさせる方針で、世耕弘成経済産業相は参院幹事長に就く見込みだ。首相は8日、都内の私邸で麻生氏と人事などをめぐり意見交換した。
世耕氏は、実力者の吉田博美前参院幹事長の政界引退で空席となっていた重要ポストを担う。首相は側近の世耕氏を据え、安定した国会運営や憲法改正論議を加速させたい考えとみられる。世耕氏は9日、国会内で関口昌一・党参院議員会長と会談した。
また、首相は内閣改造に合わせ横畠裕介内閣法制局長官が退任し、後任に近藤正春内閣法制次長を充てる方針も固めた。横畠氏は、集団的自衛権の限定的行使を可能とする首相の方針を容認し、平成27年の安全保障関連法成立に尽力した。
首相は11日午前に党役員人事を決定。公明党の山口那津男代表との与党党首会談後に官邸に組閣本部を設置し、菅義偉(すが・よしひで)官房長官が組閣名簿を発表する。その後、皇居での閣僚の認証式を経て第4次安倍再改造内閣が発足。首相は記者会見で改造の狙いなどについて説明する運びだ。