ウクライナ精鋭部隊、CNNに独占取材: 深夜のドローン攻撃、ロシアへの執念

ウクライナの静寂な夜空を、轟音が切り裂く。それは、ロシアへの反撃を誓うウクライナ軍精鋭部隊のドローンが、闇の中へ飛び立つ音だ。CNNは今回、ウクライナ国防省情報総局(GUR)の長距離ドローン部隊に独占密着取材を敢行。ロシア領奥深くへの攻撃任務に同行し、その実態に迫った。

静寂からの出撃:闇夜に舞うフクロウ

取材班が目にしたのは、厳重な情報管理下にあるGURの秘密基地。そこで彼らを待ち受けていたのは、「AN196リューティー」と呼ばれる全長約3.9メートル、翼幅約7メートルの攻撃ドローンだった。機体にはGURの象徴であるフクロウのエンブレムが輝き、ウクライナの勝利への執念を静かに物語っている。

パイロットたちは、入念な最終チェックを終えると、緊張した面持ちで親指を立てる。「さあ、行こう!」。轟音と共にドローンは夜空へと飛び立ち、漆黒の闇に溶け込んでいった。彼らの目的地は、ロシア領内に隠された軍事施設。そこには、ウクライナを標的とするイラン製のミサイルが運び込まれたという情報が入っていた。

ドローン攻撃の現実:戦況を左右する新たな戦場

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ウクライナ軍にとって、長距離ドローン攻撃は、戦況を左右する重要な戦略となっている。地上戦が膠着状態に陥る中、ドローンは敵陣深くへ侵入し、軍事施設や補給線を破壊するなど、その存在感を増している。

GURの長距離ドローン部隊を指揮するセルジ氏は、2022年2月のロシアによる侵攻開始以来、500回以上のドローン攻撃を指揮してきたという。9月には、モスクワとサンクトペテルブルク間のトベリ州にある兵器施設への攻撃に成功。戦術弾道ミサイル「イスカンデル」や滑空爆弾などを保管する施設に大きな損害を与えた。

射程外の壁:西側兵器への期待とロシアの脅威

しかし、ウクライナ軍のドローン攻撃が常に成功するわけではない。ロシア軍は防空システムを強化しており、多くのドローンが撃墜されているのが現実だ。部隊指揮官のベクター氏は、「もし、西側諸国からより高性能なドローンやミサイルの提供があれば、攻撃の成功率は格段に向上する」と語る。

一方、ロシアのプーチン大統領は、核保有国からの軍事支援を受けたウクライナによる攻撃は、 「レッドライン(越えてはならない一線)」を越える行為だと警告。西側諸国とウクライナの間には、提供できる兵器の種類や量をめぐり、緊迫した状況が続いている。

ウクライナの決意:夜空に託す勝利への願い

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取材中、セルジ氏とベクター氏は、「我々は、ただ祖国を守りたいだけだ。一日も早く戦争を終わらせ、平和な日々を取り戻したい」と、その胸の内を明かした。

ウクライナの夜空に響くドローンの轟音は、彼らの祖国を守るための決意の表れであり、平和への願いを込めた祈りのようにも聞こえた。ロシアの侵攻から1年以上が経過した現在も、ウクライナの戦いは終わりが見えない。しかし、GURの精鋭部隊は、今夜もドローンと共に、静寂な夜空へ飛び立っていく。彼らの戦いは、まだ終わらない。