トランプ氏選挙介入事件:特別検察官が編集済み証拠文書公開、2000ページに及ぶ内容とは

2020年の大統領選の結果を覆そうとしたとして、トランプ前大統領はジャック・スミス特別検察官の捜査対象となっている。10月18日、スミス氏は2000ページ近くに及ぶ証拠文書を公開した。ただし、大部分は編集済みで、トランプ氏への起訴に関してスミス氏が依拠する証拠の全容解明には至っていない。

公開された証拠文書の内容

公開された文書の大半は黒塗りされており、大陪審による判断の写しや、FBIが実施した聴き取り調査の内容などが含まれているとみられる。

判読可能な部分には、既に公表されている情報も含まれている。例えば、2020年大統領選後、トランプ氏がジョージア州の州務長官にかけた電話の内容や、偽の選挙人が署名した「非公式の選挙の承認証明」、当時のペンス副大統領が連邦議会に送った書簡などだ。

新たに明らかになった詳細

今回の公開で新たに明らかになった詳細の一つとして、2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件を調査した下院委員会が、ホワイトハウス職員に対して行った聴き取りの内容が挙げられる。

公開された文書によると、職員はトランプ氏に対し、「支持者らが議事堂に押しかけている」ため、テレビ局が同氏の演説から離れていったと伝えている。当初、事態を把握しきれていなかった様子のトランプ氏だったが、職員が持ってきたテレビ画面を見て、現場の状況を自身の目で確認したという。

証拠文書は4つのパートで構成

10月18日に公開された文書は4つのパートで構成されている。

パート1:議事堂襲撃事件調査委員会による聴き取りの抜粋

議事堂襲撃事件の調査委員会が、様々な関係者に対して行った聴き取りの内容がまとめられている。

パート2:トランプ氏や陣営によるSNS投稿

ツイッター(現X)をはじめとするソーシャルメディアに、トランプ氏やその陣営、支持者らが投稿した内容などが含まれている。1月6日の議事堂襲撃事件当日に投稿された内容も含まれている。

これらのツイートの一つで、トランプ氏はペンス氏について「勇気が無いのでやるべきことが出来なかった」と述べている。これは、大統領選の結果を覆そうとする自身の取り組みに対して、ペンス氏が協力しなかったことを批判したものとみられる。

パート3:偽の選挙人による「選挙承認証明」

偽の選挙人が署名した「非公式の選挙の承認証明」の写真が含まれている。当時のトランプ氏の支持者らは、この証明が大統領選の結果を覆す決め手になると期待していたとされている。

また、ペンス氏が2022年に出版した自伝の複数ページの写真や、トランプ氏とジョージア州の州務長官との通話の写しも含まれている。

パート4:トランプ氏の弁護士によるメモ書き

トランプ氏の弁護士であるジョン・イーストマン氏によるメモ書きが含まれており、そこにはペンス氏が選挙結果の承認を拒否するための計画が記されている。

その他、トランプ氏が1月6日の前夜に発表した公式声明や、同日の演説用に準備した発言内容などがまとめられている。

トランプ氏に対する今後の捜査は?

スミス氏は4件の犯罪でトランプ氏を刑事訴追している。一方、連邦最高裁は今年の夏、トランプ氏による大統領在任中の行為の一部について、免責を認める重要な判断を下している。今後の捜査の行方、そして2024年の大統領選挙への影響に注目が集まっている。