ニューヨーク・マンハッタンの中心部で、ついに渋滞税の徴収が開始されました。慢性的な交通渋滞の緩和と、老朽化した交通インフラの改修費用確保を目的とした、全米初の試みです。しかし、市民への負担増につながるとして、反対の声も根強く残っています。
渋滞税導入の目的と概要
マンハッタン中心部の深刻な交通渋滞は、長年の課題となっていました。この問題を解決し、地下鉄やバスなどの公共交通機関の改善に必要な資金を確保するため、渋滞税の導入が決定されました。
対象となるのは、タイムズスクエアやウォール街を含むマンハッタンの中部から南部。料金は乗用車で9ドル(約1400円)、バスやトラックで14.40ドル。夜9時から翌朝までは75%割引になります。1日の徴収は1回限りです。
マンハッタン中心部の交通渋滞の様子
渋滞緩和と財源確保への期待
ニューヨーク州は、この渋滞税によって対象地域内の交通量が1割程度減少すると予測しています。また、集められた税金は、地下鉄やバスの近代化、駅構内のバリアフリー化など、交通インフラの改修に充てられる予定です。環境保護団体からも、温室効果ガス削減への貢献が期待されると歓迎の声が上がっています。
市民の負担増と反対の声
一方、市民からは負担増への懸念が拭えません。「生活必需品が高騰する中で、さらに負担が増えるのは困る」という声や、「渋滞税を払っても、公共交通機関のサービスがすぐに改善されるわけではない」といった不満も出ています。
専門家の意見
交通政策に詳しい山田教授(仮名)は、「渋滞税は短期的には市民の負担を増やすものの、長期的には交通渋滞の緩和、大気汚染の改善、公共交通機関のサービス向上につながる可能性がある。導入後の効果を検証し、必要に応じて料金体系や対象地域を見直していくことが重要だ」と指摘しています。
交通量の多いマンハッタン中心部
トランプ前大統領との対立と今後の展望
トランプ前大統領は、渋滞税はニューヨークの競争力を弱めると主張し、導入に反対していました。大統領在任中には撤廃を試みる可能性も示唆していました。
今回の渋滞税導入は、当初2023年6月に予定されていましたが、ホークル知事によって延期されていました。その後、徴収額を15ドルから9ドルに引き下げ、大統領選挙後に導入が決定されました。これは、トランプ前大統領の意向を考慮した結果とも考えられています。
渋滞税導入後の効果や影響については、今後も注視していく必要があります。ニューヨークの交通問題の解決に向けた、重要な一歩となるのでしょうか。