イスラエル軍によるガザ北部ジャバリアの避難民キャンプへの攻撃で、少なくとも33人が死亡したと、イスラム組織ハマスが運営する保健省が発表しました。犠牲者には女性や子供が含まれているということです。
避難民キャンプへの攻撃、死者数はさらに増える可能性も
ハマス側の広報当局によると、18日に行われたイスラエル軍によるジャバリア空爆で、少なくとも33人が死亡、85人が負傷したとしています。負傷者の中には重傷者も含まれているとのことです。
避難民キャンプ内では、3家族が暮らしていた建物が破壊され、多くの人ががれきの下に閉じ込められていることから、死者数は50人に達する可能性もあると報じられています。
イスラエル軍の沈黙、情報が遮断されたガザ北部
現時点では、これらの情報の客観的な検証は行われていません。 地元の情報筋によると、ガザ北部は通信網とインターネットが遮断されており、事実上孤立状態にあるとのことです。
ソーシャルメディア上では、現地のアル・アウダ病院の中庭に、白い布でくるまれた遺体が並べられている様子を映した動画が拡散されていますが、BBCではこの内容の確認は取れていません。
白い布でくるまれた遺体が並ぶ様子
病院は満員状態、医療体制は崩壊寸前
アル・アウダ病院のモハマド・サルハ院長代行は、多数の負傷者が一度に運び込まれたことで、病院は対応能力を超えていると、記者団に語りました。
「救急隊員は今もジャバリアから、殉教者と負傷者を運び出そうとしている。病棟は満員で、負傷者の多くは床の上で治療を受けている」と、サルハ院長代行は述べています。
40万人が避難するジャバリア避難民キャンプ、2週間以上も包囲下に
ジャバリアの避難民キャンプには約40万人が避難していますが、わずかな食料と水しか供給されない状態で、2週間以上にわたってイスラエル軍によって包囲されています。
ガザ保健省、18日の攻撃による死者数は39人に達したと発表
18日のジャバリア空爆に先立ち、ガザの保健省は、ガザ地区全体で少なくとも39人が死亡したと発表していました。犠牲者の多くはジャバリアで被害にあったとされています。
イスラエル軍戦車、ジャバリア中心部に進入し家屋を破壊
現地住民はロイター通信に対し、イスラエル軍の戦車が空と地上からの支援砲撃を受けながら、ジャバリアの中心部に進入し、多数の家屋を連日破壊していると語っています。
さらに18日午後には、ジャバリアとガザ北部の2つの町で通信が遮断されました。
国連、「ガザ北部の住民は悲惨な状況に置かれている」
ガザ地区における国連人道問題調整事務所（OCHA）のゲオルギオス・ペトロプロス所長は18日、BBCの番組「ニューズアワー」に出演し、ジャバリアにいる住民は「悲惨な状況」に耐えていると語りました。
「ガザ北部の住民、特にイスラエル軍に包囲されたジャバリア・キャンプにいる人たちは、激しい砲撃のさなか、悲惨としか言いようのない状況の中で生き延びようとしている」と、ペトロプロス氏は語っています。
イスラエル軍、「白兵戦で複数の戦闘員を殺害、軍事インフラを破壊」
イスラエル軍は17日、白兵戦で複数の戦闘員を殺害し、軍事インフラを破壊したと発表しています。
ペトロプロス氏はさらに、シンワル氏殺害をきっかけにガザ北部への援助物資の搬入が従来より容易になるとは思えないと、BBCに語りました。
ガザ北部への援助物資は不足、病院では燃料不足で患者が死亡
10月に入ってからガザ北部に届けられた援助物資はごくわずかです。イスラエルは18日、食料や水、医薬品、シェルター用の備品などを積んだトラック30台をガザ北部に向けて派遣したとしています。
しかし、現地当局はロイター通信に対し、ジャバリアなど特に被害の大きい地域には、援助物資は届いていないと語っています。
「ガザのこの場所から、和平への道筋は見えない」と、ペトロプロス氏はBBCに語りました。
「いまだに病床不足のせいで病院の床で子供たちが死んでいる。燃料を病院に運ぶことが許されないため、透析患者が亡くなっている」
イスラエル、「援助物資の搬入は阻止していない」と主張
イスラエルは、援助物資のガザ搬入を阻止していないと、繰り返し主張しています。 しかし、アメリカ政府は、ガザへの人道支援が拡大されない場合、アメリカからイスラエルへの軍事援助の一部を打ち切る可能性もあると警告しています。
イスラエル、「ガザ北部の一部を封鎖している」
イスラエルのアミハイ・チクリ・ディアスポラ問題担当相はBBCの番組で、イスラエル軍がガザ北部の一部を「封鎖」したと語りました。
「我々は部隊を使って封鎖している。それによって、民間人が安全地帯へ避難できるようにした。そして、封鎖区域に物資が入らないようにした。そこは極めて限定的な区域で、ハマスがそこで統治と軍事能力を立て直そうとしているからだ」と、チクリ氏は述べ、「これは国際法のもとで合法だ」と強調しました。
