中国の和平案、ウクライナ紛争の行方を左右か?

習近平主席、プーチン大統領と会談し対話による解決を呼びかけ

22日、ロシア中部のカザンで、BRICS首脳会議に出席した中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が会談を行いました。焦点となったのは、長期化するウクライナ紛争への対応です。

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習主席は会談の中で、改めて対話による政治的解決の重要性を強調したとみられています。中国はこれまで、米欧諸国による対ロシア制裁には加わらず、中立的な立場を保ってきました。しかし、北朝鮮によるロシアへの軍事協力が地域の不安定化につながる可能性を懸念しており、一日も早い停戦を望んでいます。

中国独自の和平案、新興・途上国から支持集める

タス通信によると、会談後、ペスコフ大統領報道官は「両首脳はウクライナ情勢と国際情勢全体について意見交換し、双方の立場とアプローチが一致していることを確認した」と発表しました。

中国は5月、ブラジルとともに独自の和平案を発表しています。この和平案は、停戦と対話を訴える一方で、ロシア軍のウクライナからの撤退までは求めていません。あくまでも戦線の拡大を防ぎ、事態を沈静化させるための応急的な措置として位置づけられています。

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ウクライナのゼレンスキー大統領は、中国の和平案に否定的な見方を示しています。しかし、ロシアの影響力が強い新興・途上国、いわゆる「グローバル・サウス」の国々からは一定の支持を得ています。

グローバル・サウスを取り込み、仲介役を果たせるか?

中国は、グローバル・サウスの国々とも連携し、和平案への支持をさらに広げようとしています。9月に国連総会で開かれた「平和の友」閣僚会議では、中国やロシア、インド、トルコなど13カ国が、ウクライナの和平案に関する共同声明を発表しました。この声明では、中国の和平案には含まれていなかった「各国の主権と領土の一体性尊重」「核兵器による威嚇への反対」といった文言が盛り込まれました。

グローバル・サウスの国々の中には、対ロシア制裁に反対する国や、ウクライナが主導する和平案に懐疑的な国が多く存在します。中国としては、グローバル・サウスの支持を背景にロシアとウクライナの仲介役を果たしたい考えです。

しかし、中国の和平案は、ウクライナ側の主張であるロシア軍の撤退を条件としていないため、ウクライナが受け入れる可能性は低いと言わざるを得ません。今後の中国の動向が、ウクライナ紛争の行方を大きく左右することになりそうです。