ロシアに渡る北朝鮮兵士は「傭兵」 韓国国防相が「人間の盾」と批判

北朝鮮兵士はロシアの「弾よけ」?

韓国の国防相であるキム・ヨンヒョン氏は、ロシアに渡航した北朝鮮兵士について、「派兵」ではなく「傭兵」という言葉が適切だと主張しました。国会での国政監査でキム国防相は、「軍としては、言葉の上では派兵だが、実態は傭兵という表現がより適切だと判断している」と述べました。

キム国防相は、通常の派兵の場合、派遣された国の軍隊は独自の指揮系統を維持し、軍服や国旗を身につけて活動すると指摘。しかし、北朝鮮兵士はロシア軍の軍服を着用し、ロシア軍の指揮下で活動しており、作戦権限も与えられていないと説明しました。

「彼らは言われた通りに動くだけの『弾よけの傭兵』に過ぎない」とキム国防相は批判。「金正恩委員長は、自国民を違法な侵略戦争に売り渡した」と非難しました。

派兵規模は1万人規模に?

韓国国家情報院によると、これまでにロシアに移動した北朝鮮兵士は3000人以上に達しており、12月頃には1万人以上に増える見通しです。彼らの報酬は、1人当たり月2000ドル程度だとされています。

キム国防相は、6月のロシアと北朝鮮の首脳会談を機に、北朝鮮の関与の形が変わってきたと説明。会談前は、北朝鮮はロシアにミサイルや砲弾などの武器を支援しており、その量は砲弾だけでも約1000万発に上るとのことです。しかし、会談後は、武器支援に加えて、兵士の派兵が始まったと述べています。

韓国軍の派兵は検討せず

キム国防相は、ロシアと北朝鮮の連携強化に懸念を示し、「国際社会と協力して、彼らの行動を注視していく」と強調。監視団の派遣や兵器支援などの段階的な措置も検討していると明らかにしました。

一方で、「北朝鮮軍の派兵に対抗して、韓国軍の派兵も検討するのか」という質問に対しては、「国軍の派兵は検討していない」と述べました。

ロシア軍の戦車ロシア軍の戦車

ロシアのウクライナ侵攻は、北朝鮮を巻き込み、東アジアの安全保障環境にも影響を与え始めています。今後の情勢の変化に注目する必要があります。