小泉進次郎氏といえば、政治家一家に生まれ、若くして環境大臣に就任。「進次郎構文」とも呼ばれる独特の言い回しで、常に注目を集めてきました。しかしその一方で、その言動がしばしば世間から大きな批判を浴びることも。
今回は、約20年にわたり小泉氏を取材してきたジャーナリスト・フジテレビ解説委員の鈴木款氏の著書『新時代への選択 小泉進次郎』(扶桑社)を参考に、小泉氏の「セクシー発言」の真相に迫ります。
環境大臣就任と「セクシー発言」騒動
2019年9月、小泉氏は第4次安倍第2次改造内閣で環境大臣に抜擢されました。これまで青年局長や農林部会長など、党内要職を歴任してきた小泉氏にとって、順風満帆な政治家人生と言えるでしょう。
しかし、環境大臣就任後、彼に対する世間の風向きは変わっていきます。そのきっかけとなったのが、就任後初の外遊先であるニューヨークでの、いわゆる「セクシー発言」でした。
国連気候行動サミットに出席した小泉氏は、英語でスピーチを行い、会場の空気を和ませました。しかし、その後の記者会見で、同席していた国連気候変動枠組み条約の Christiana Figueres 氏の発言を引用する形で、「気候変動の政策議論は楽しく、クールでセクシーであるべき」と発言。これが日本のメディアで「セクシー発言」として大きく取り上げられ、バッシングを受けることになったのです。
アメリカ人から見た「セクシー発言」
しかし、この「セクシー発言」は、本当にそこまで問題視されるべき発言だったのでしょうか?
外交の場では、相手の言葉を敬意を込めて引用することはよくあることです。また、「セクシー」という言葉は、日本では性的な意味合いが強いですが、英語では「魅力的」という意味で使われることも少なくありません。
実際に、アメリカ人の友人に確認したところ、「議論がセクシーであるべきという表現は一般的で、なぜ日本で問題になるのか理解できない」という意見がほとんどでした。
在米30年の作家・ジャーナリストである冷泉彰彦氏も、この件について、「責められるべきは、文脈を理解せずに表層的な報道をした当時のメディア」と指摘しています。
「セクシー発言」の真相
小泉氏は、国連サミットという場で、重要な人物と意見交換し、キーワードを共有しただけに過ぎません。それを理解せず、誤解と偏見に基づいたバッシングが続いているのは、非常に残念なことです。
この騒動は、言葉の文化的な違い、そしてメディアの報道のあり方について、私たちに改めて考えさせてくれる出来事と言えるでしょう。