衆議院選の演説で、日本維新の会の馬場伸幸代表が「企業団体献金を受け取っていないのは日本維新の会だけ」と発言しましたが、不正確です。日本共産党は綱領に「受け取らない」と明記し、企業・団体献金を受け取っていません。
検証対象
2024年10月11日、日本維新の会の馬場代表が「日本維新の会だけが企業・団体献金を受け取らないようにしています」と演説している動画をYouTubeの「維新の馬場ちゃんねる」で公開した。
「馬場代表頑張って下さい。」というコメントがある一方で「嘘ですね。政治資金パーティーやってるじゃん。政治資金収支報告書にも書いてあるけど」という指摘もある。
検証過程
日本共産党「企業・団体の献金を禁止」
日本共産党は企業・団体献金を受け取っていない。党員の党費や「しんぶん赤旗」の事業収入、寄付が主な収入だ(しんぶん赤旗「日本共産党の政治資金」)。
日本ファクトチェックセンター(JFC)が改めて共産党に話を聞いたところ、結党以来、受け取っておらず、2004年1月には党綱領を改定して「憲法と民主主義の分野で」という項目に「汚職・腐敗・利権の政治を根絶するため企業・団体の献金を禁止する」と明文化したという(日本共産党綱領)。
維新は過去に受けとり
馬場代表の「日本維新の会だけが企業・団体献金を受け取らないようにしています」という演説やその投稿に対して、リプライ欄などに企業・団体から献金を受け取っていたはずだという指摘があった。
JFCが公益財団法人 政治資金センターの政治資金収支報告書検索システムで、収支報告書を検索したところ、少なくとも、馬場氏が代表を務める日本維新の会衆議院大阪府第17選挙区支部の平成25年分、26年分に複数の企業や団体からの献金の収入があった。
維新のX(旧Twitter)の公式アカウントは10月22日、参議院京都府選挙区支部長の新実彰平氏が「維新は、結党以来企業団体の献金を受け取っていないんです」と演説している動画を投稿した。
しかし、24日に新美氏は「当初の動画にあった『企業・団体献金は結党以来受け取っていない』との表現は正確ではありませんでした。申し訳ございませんでした」と訂正する投稿をしている。
維新は2021年公表の「日本維新の会政策提言 維新八策」で、「議員、政党への企業・団体・組合等による献金の全面禁止を求め、(中略)所属議員は企業団体献金を受け取らない政治姿勢を堅持します」と記している。
2024年1月には「維新版政治改革大綱」を決め、翌日、公表している。その中には「企業団体献金の完全廃止」と書かれている(「維新版政治改革大綱」7ページ)。
JFCは維新に取材を申し入れているが、10月25日午後3時時点で返答はない。返答があり次第、追記する。
馬場氏の発言に関しては、朝日新聞も10月23日に「共産党は受け取っていないとしている」ということを根拠に「不正確」と判定するファクトチェック記事を出している。