最高裁の裁判官「国民審査」、用紙に「◯」は書かないで 投票前に知っておきたいポイントは


【動画】どうやって投票する?

選挙に比べて、機会の少ない国民審査ですが、改めてどのような制度なのか整理しました。

●「✕」が過半数→その裁判官は辞めさせられる

国民審査は、衆議院議員の選挙と同じ日に、同じ会場で行います。衆議院議員の選挙の投票箱と、国民審査の投票箱が並んでいて、順に投票する流れです。

会場では、裁判官の名前が一覧表のようになっている用紙を渡されるので、その紙の名前の上にある欄に「✕」をつけます。

「✕」が過半数だった場合には、その裁判官は辞めさせられます。

●用紙に「◯」は書いてはならない

やめさせたい裁判官に「✕」をつける、というルールですので、逆にやめさせない裁判官には、つい「◯」をつけたくなります。

しかし、「✕の記号以外の事項を記載したもの」を「無効とする」という規定があります(最高裁判所裁判官国民審査法22条1項第2号)。

「◯」を書くとその用紙は無効になってしまいますので、決して◯を書いてはいけません。

やめさせようと思っていない裁判官については、「何も書かない」が正解です。
同法15条1項で、「罷免を可としない裁判官については投票用紙の当該裁判官に対する記載欄に何らの記載をしないで、これを投票箱に入れなければならない。」と定められています。

●過去に罷免された裁判官はゼロ

ただ、それぞれの裁判官のことを調べたり、下した判決を読んで検討するのには、とても時間がかかりますし、難しくて大変だ、という印象を持たれるかもしれません。

国民審査で罷免された裁判官は、歴史上一人もいません。

史上最も「✕」の割合が高かった裁判官は、下田武三(しもだ たけそう)裁判官で、それでも15.17%(1972年の国民審査時)だそうです。

下田裁判官は、行政官(外交)出身で、外務事務次官であった頃、沖縄の返還をめぐって「核付き返還やむなし」という趣旨の発言をしたことが多くの反発を招いたなどと言われているようです。

あまり難しく考えずに、自分が今知っている有名な事件で、納得の行かない判決や判断を下した裁判がある裁判官には「✕」をつける、というくらいの感覚でも良いのではないでしょうか。



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