(CNN) 米大統領選の共和党候補、トランプ前大統領の選挙集会で、演説に立ったコメディアンが米自治領プエルトリコを「海の真ん中に浮かぶごみの島」と呼んだ差別発言に対し、民主党のオバマ元大統領が28日、厳しい批判を展開した。
オバマ氏はペンシルベニア州フィラデルフィアで民主党候補、ハリス副大統領の応援演説に登壇。トランプ氏が27日にニューヨーク市で開いた集会の冒頭の演説では「この上なく人種差別的、性差別的で偏見に満ちたステレオタイプ」が飛び交っていたと批判し、「ごみの島」発言を例に挙げた。
大統領選の激戦州のひとつ、ペンシルベニア州には約50万人のプエルトリコ系住民がいる。オバマ氏は「かれが言っているのは皆さんの隣人、友人、同僚のことだ」「この人たちは米国人だ」と訴え、「ここで見られたような分断と憎悪の政治を拒否するべきだ」と強調した。
トランプ陣営は27日夜、トランプ氏の考えを反映した発言ではなかったと釈明したが、それより先にハリス陣営や、プエルトリコ出身の人気歌手バッド・バニーが即座に反発した。
プエルトリコの最大都市サンフアンのカトリック大司教は27日、インターネット上で「失望し、愕然(がくぜん)としている」との声明を発表した。
発言したコメディアンは批判の声を受け、X(旧ツイッター)に「ユーモアのセンスがない人たちだ」と投稿した。トランプ氏の副大統領候補、バンス上院議員も「冗談だ」として批判を一蹴(いっしゅう)した。
これに対して大司教は「ユーモアには限度がある」と反論し、トランプ氏にこの発言を否定して謝罪するよう求めている。