中国の食料安全保障を支える26階建て養豚場:まるで高層マンション!

中国の食料安全保障への関心が高まる中、湖北省鄂州市に建設された26階建ての巨大養豚場が注目を集めています。まるで高層マンションのような外観を持つこの施設は、中国の食糧事情の現状を象徴する存在と言えるでしょう。

食糧安全保障への危機感と巨大養豚場の誕生

習近平国家主席は、「食糧安全保障の主導権を確保してこそ、強国復興の主導権を握ることができる」と繰り返し発言し、食糧安全保障の重要性を強調しています。米中対立の長期化も背景に、中国国内では食糧自給への関心が高まっています。

26階建て養豚施設の外観26階建て養豚施設の外観

湖北省鄂州市の中心部から少し離れた場所に、突如として現れる巨大な建物。一見すると高層マンションかオフィスビルを思わせるその姿は、実は26階建ての養豚場なのです。セメント会社が約800億円を投資して建設し、2022年秋から稼働を開始しました。

最新技術で実現する年間120万頭の飼育能力

この養豚場は、給餌から清掃、消毒まで多くの作業が自動化されています。この高度な自動化システムによって、年間最大120万頭の豚を飼育することが可能となっています。中国では古くから「猪糧安天下(豚肉と食糧が充足してこそ天下が安定する)」と言われ、豚肉は国民の生活に欠かせない食材です。政府も豚肉の安定供給に力を入れている背景には、こうした食文化も影響していると考えられます。

自動化システムと食料自給率への影響

食料自給率の低下も、中国政府の危機感を高める要因となっています。2000年前後にはほぼ100%だったカロリーベースの食料自給率は、現在では7割強にまで低下しています。この巨大養豚場は、食料自給率向上への取り組みの一環と言えるでしょう。

巨大養豚場の未来と中国の食料安全保障

26階建ての養豚場は、中国の食料安全保障に対する強い意志を体現する存在です。最新の技術を駆使した大規模養豚は、食料自給率の向上に貢献するだけでなく、雇用創出などの経済効果も期待されています。今後の中国の食料事情を左右する存在として、その動向に注目が集まります。

例えば、日本の食肉加工専門家である山田一郎氏(仮名)は、「中国の養豚技術は目覚ましい発展を遂げており、この巨大養豚場は世界の畜産業界に大きな影響を与えるだろう」と述べています。

今後の中国における食料安全保障の動向、そしてこの巨大養豚場の役割に、引き続き注目していく必要があるでしょう。