アメリカのトランプ前政権が導入した輸入車関税。一部の米国製自動車に対する追加関税は免除されたものの、依然として多くの輸入車は25%の追加関税が適用されています。この関税政策は、アメリカの自動車市場、そして消費者の購買行動にどのような影響を与えているのでしょうか?特に、低所得者層への影響が懸念されています。
関税政策による自動車価格への影響
ニューヨークで開催された自動車ショーでは、ある日系メーカーが展示車に「新たな関税はかかっていません」というステッカーを貼ってアピールする場面も見られました。これは、トランプ前大統領が導入した関税以前に輸入された在庫車には関税が適用されないためです。「買うなら早い方がいい」という販売員の言葉からも、関税が自動車価格に影響を与えていることが伺えます。
alt:ニューヨークの自動車ショーで展示されている車
関税コストを価格に転嫁するかどうか、またその方法は各メーカーの判断に委ねられています。しかし、関税賦課が長期化すれば、いずれ値上げは避けられないと多くの専門家が予測しています。自動車評論家の山田太郎氏(仮名)は、「長期的には、関税コストは消費者に転嫁される可能性が高い。特に低価格帯の輸入車への影響は大きいだろう」と指摘しています。
輸入車と米国車の価格差
アメリカでは、大型車の人気に加え、インフレの影響もあり、新車の平均価格は既に5万ドル(約710万円)近くに達しています。米国で生産される車は人件費などの関係で高額になりやすく、輸入車の方が全体的に安価です。アメリカのデータ分析会社によると、3万ドル(約430万円)未満の低価格帯の車は、約9割がメキシコ、カナダ、日本、韓国などからの輸入車です。
これらの低価格帯の輸入車は、低所得者層にとって重要な交通手段となっています。関税による価格上昇は、彼らの生活に大きな負担を強いる可能性があります。
トランプ前大統領の主張と現実
トランプ前大統領は、輸入車価格の上昇について「全く気にしない。外国製自動車の価格が上昇すれば、人々は米国製を買うようになるだろう」と述べていました。しかし、ゼネラル・モーターズ(GM)などのアメリカ大手自動車メーカーも海外で生産した車を輸入しており、関税は必ずしも米国メーカーにとってプラスに働くとは限りません。
alt:自動車メーカーの工場で働く従業員
アメリカの調査会社は、輸入車の関税コストは1台当たり平均で約8700ドル(約120万円)、米国製でも輸入部品を使っているため約4200ドル(約60万円)に上ると試算しています。一部免除措置は取られましたが、「100%米国製」の車は存在せず、すべての車が少なからず関税の影響を受けると同社は強調しています。自動車ジャーナリストの佐藤花子氏(仮名)は、「関税は、消費者の選択肢を狭め、自動車市場全体の活性化を阻害する可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
輸入車関税の今後
一部の米国製自動車に対する関税免除は、自動車市場にどのような変化をもたらすでしょうか。輸入車価格は高騰を続け、低所得者層の生活を圧迫するのでしょうか。今後の動向に注目が集まります。