妊娠中の里見香奈女流五冠(32)が体調不良により、相次いでタイトル戦で不戦敗となった件について、日本将棋連盟は10月30日、東京・千駄ヶ谷の旧将棋会館で説明会を開き、経緯を説明しました。
タイトル戦規定と現状の難しさ
里見女流五冠は霧島酒造杯第46期女流王将戦、そしてヒューリック杯第4期白玲戦の2つのタイトル戦で、体調不良を理由に不戦敗となりました。将棋連盟によると、タイトル戦の対局規定では、「天変地異、交通機関の不通、行政指導等の不可抗力、感染症等の社会通念上相当と認められる事由に該当しない場合、対局できない者の当該局を不戦敗とする」と定められています。
里見香奈女流五冠
女流棋戦は年間8つのタイトル戦が厳密な日程で組まれており、日程や場所の変更も検討されましたが、最終的に不戦敗という判断に至ったとのこと。将棋連盟は、「対局日程、場所の変更なども含め、ギリギリまで調整したがかなわず、進行上やむを得ず不戦敗とした」と説明しています。
妊娠中の棋士への配慮と今後の課題
里見女流五冠は8月下旬に妊娠を公表。白玲戦では母子の健康を考慮し、椅子対局や洋服での対局といった要望を受け入れ、日程調整も行われました。また、両タイトル戦ともシリーズ前に出場意思を確認していたといいます。
今回の件を受け、将棋連盟の西尾明常務理事(45)は「今後、弾力的に対応していく」と述べ、妊娠中の棋士への更なる配慮を示唆しました。例えば、著名な産婦人科医である山田先生(仮名)は、「妊娠中の女性の体調は変化しやすく、予測が難しい。周囲の理解と柔軟な対応が不可欠です。」と述べています。
倉敷藤花戦の開催は?
里見女流五冠は12月に出産予定で、11月17日から来年2月12日まで出産のため休場することが決まっています。産休前の11月上旬には、伊藤沙恵女流四段(31)の挑戦を受ける倉敷藤花戦3番勝負が大阪市で開催予定ですが、この開催についても将棋連盟は「再検討中」としています。
西山朋佳女流三冠
女性棋士の活躍と出産・育児の両立
今回の出来事は、女性棋士の活躍と出産・育児の両立という課題を改めて浮き彫りにしました。今後、将棋界がどのように対応していくのか、注目が集まります。将棋ファンからも、里見女流五冠への応援メッセージや、将棋界の柔軟な対応を求める声が上がっています。