今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラ(連続テレビ小説)に関する著書を2冊上梓し、毎日レビューを続けて10年超えの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は、第60回(2025年12月19日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)
● 春近し、立ったまま寝るトキ
再び、大雄寺にやって来たトキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)。
現代っ子的な描写も多い『ばけばけ』だが「先日はヘブン先生がありがとう存じました」と丁寧に挨拶(あいさつ)するところは昔の人感がある。
「その後どげかね」と住職(伊武雅刀)が聞くと、「はいおかげさまで、金縛りはもうすっかり。寂しがっちょるぐらいです」と返すトキだが、これって建前? せっかくお祓(はら)いしてもらったのだから、金縛りが治っていないとしても言いにくいだろう。
それはそうと、この日、トキが寺を訪ねたのは、「『水飴を買う女』をもう一遍お聞かせいただきたく」というお願いだった。なんでまた? というところで主題歌。
主題歌明けは花田旅館。
トキが平太(生瀬勝久)にお弁当(?)を作ってもらっている。
外ではツル(池谷のぶえ)とウメ(野内まる)が春の夕暮れを眺めておしゃべり。
「しかしだいぶ日が延びてきたわね」
「本当にこの間までこの時間は真っ暗でしたけん」
「もうすぐ春だわ」
ごくありふれた会話にツルは、「こげに同じことばっかし言っちょるうちに人は、というか、私花田ツルは死んでいくんだろうね」と自分にツッコミを入れる。
これは意外に深いセリフである。真理を突いている。学のあるなし関係なく、むしろ、学のない人が意外と深い真理を難しくない言葉で語ることがある。これこそがとても大事なのだ。
宿の中に入ったツルは、トキが立ったまま寝ていることにたまげる。
「はぁ、器用だねぇ」
第1話、幼少時のトキも立ったまま寝ていたっけ。
ツルは、「おトキちゃんがいつ倒れてもええように」と体に触れない距離感で、手を添える。ウメには後ろを任せる。
そこへ平太が夜食をつくり終えて持ってきた。






