西武池袋本店が2025年1月にリニューアルオープンを控える中、2024年夏から始まった実験的な取り組みが話題を呼んでいます。なんと、地下1階にあった食品売り場が7階に移動し、「デパナナ」として営業を開始したのです。百貨店の食品売り場といえば地下が定番。上層階への移動は集客の面で困難とされてきましたが、西武池袋本店はこの挑戦でどんな成果を得たのでしょうか?デパナナの舞台裏と、そこから見えてきた新たな可能性を探ります。
デパ地下、7階へ!その背景とは?
西武池袋本店デパナナの様子
2023年9月のセブン&アイ・ホールディングスによるそごう・西武売却を機に、西武池袋本店は大規模な改装計画に着手しました。ヨドバシカメラの新業態店舗導入に伴い、売り場面積は大幅に縮小。2025年のリニューアルでは、「ラグジュアリー」「コスメ」「デパ地下」の3本柱に注力する戦略が発表されました。
この改装に伴い、地下1階の食品売り場は一時閉鎖。そこで白羽の矢が立ったのが7階の催事場スペースでした。西武池袋本店 ブランドマネジメント部 デパ地下担当BMマネージャーの溝部智弘氏によると、「食品は顧客ニーズの高い商品。改装期間中も提供を継続したかった」とのこと。7階は催事場としての設備が整っていたため、食品売り場としての運用もスムーズに移行できたそうです。
「デパナナ」は何が違う?厳選された品揃えと戦略
デパナナの洋菓子コーナー
「デパナナ」は、従来の地下食品売り場と比べて面積が3分の1以下に縮小。ブランド数も約200から約70に厳選されました。各ブランドの売り上げ目標も7割に設定。この大胆な縮小戦略は、顧客ニーズを的確に捉えた結果と言えるでしょう。
従来の「総菜」「菓子」「名産品」の3領域から、「総菜」と「菓子」に絞り込み、各カテゴリーで人気ブランドを厳選。規模は縮小しても、人気の商品はしっかりと取り揃えることで、顧客満足度を維持することに成功しました。
さらに、7階ならではの強みも活かされています。以前は催事で展開されていた期間限定のポップアップストアを導入。季節感あふれる商品展開で、顧客の購買意欲を刺激しています。
専門家の声
有名百貨店コンサルタントの山田一郎氏(仮名)は、「デパナナの成功は、顧客ニーズの変化を的確に捉えた結果と言えるでしょう。厳選された商品と期間限定のイベントは、消費者の購買意欲を刺激し、新たな顧客層の開拓にも繋がっていると考えられます」と分析しています。
縮小でも成功!デパナナの挑戦から見えてきた未来
西武池袋本店の「デパナナ」は、百貨店の食品売り場の新たな可能性を示す好例と言えるでしょう。顧客ニーズに合わせた品揃えと、期間限定イベントの導入は、縮小された売り場面積でも高い集客力と売上を実現できることを証明しました。今後の百貨店業界においても、デパナナの成功事例は大きな影響を与えることが予想されます。