日本在留外国人の就労意欲は依然高水準、特定技能への関心も顕著に上昇

物価高や円安の影響で「外国人材の日本離れ」が懸念される中、株式会社マイナビグローバルが2025年1月から2月にかけて実施した在留外国人704人対象の調査により、日本で働く外国人の就労意欲は依然として高い水準にあることが明らかになりました。調査結果によると、日本に在留する外国人の92.3%が「今後も日本で働きたい」と回答しており、日本の労働市場に対する強い関心が示されています。一方で、「他国の方が稼げる」という経済的理由から日本での就労を望まない声も増加傾向にあり、課題も浮き彫りになっています。

日本で働く外国人労働者、多様な人材が日本の社会に貢献する様子日本で働く外国人労働者、多様な人材が日本の社会に貢献する様子

長期就労を希望する在留外国人が7割超

現在の在留資格が切れた後も日本での就労を希望する回答は92.3%に上り、そのうち76.3%が「今後5年以上日本で働きたい」と答えています。この結果は、多くの外国人材が日本でのキャリアを長期的に展望していることを示唆しています。

円安と賃金格差が「日本離れ」の懸念を強める

「日本では働きたくない」と回答した理由で最も多かったのは「円安だから」(35.5%)でした。また、「他国の方が稼げるから」という回答は昨年と比較して8.4ポイント増加しており、東南アジア諸国の賃金上昇と円安が日本の優位性を低下させている可能性が指摘されています。一方で、「働く環境が悪いから(長時間労働など)」とする回答は17.8ポイント減少し、労働環境への不満は改善傾向にあることが窺えます。

特定技能制度の理解度と就労意欲が大幅向上

在留資格が「特定技能」以外の人々の間で、特定技能制度の認知度と理解度が大きく向上しています。94.8%が特定技能を「知っている」と回答し、「よく理解している」と答えた割合も昨年比で12.2ポイント増の48.0%に達しました。特に技能実習生の間では理解度が20.7ポイントと大幅に上昇しており、制度に対する情報が浸透していることがわかります。

特定技能1号での就労意欲も高く、69.4%が「働きたい」と回答し、前年より18.1ポイント増加しました。留学生、技能実習生、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の在留資格を持つ層においても、特定技能1号での就労意欲がそれぞれ10ポイント以上上昇しています。

特定技能1号を選ぶ理由:キャリアの柔軟性と待遇改善

特定技能1号で働きたい理由としては、「在留資格を取りやすいから」(25.2%、昨年比7.3ポイント増)、「給料が高いイメージがあるから/手取りが上がるから」(28.2%、同6.9ポイント増)、「希望の勤務地で働けるから」(30.6%、同5.0ポイント増)、「転職できるから」(17%、同3.5ポイント増)がそれぞれ増加しました。これは、技能実習制度にはない勤務地の選択や転職の自由といったキャリアの柔軟性が、外国人材にとって魅力となっていることを示唆しています。

特定技能2号への期待も高く、長期就労の動機に

上位資格である特定技能2号についても、84.0%が「知っている」と回答しており、そのうち「働きたいと強く考えている」とする人は前年より7.9ポイント増加しました。技能実習、留学、特定技能のいずれの在留資格を持つ層でも、「働きたいと強く考えている」との回答が60%を超えています。

現在特定技能の在留資格を持つ外国人材が特定技能で働く理由の第1位は「特定技能で働きたい業界・職種があるから」(39.2%)、第2位は「特定技能2号で長く働くことができるから」(31.4%)でした。特定技能2号の取得可能性が、長期的なキャリア形成を見据えた特定技能選択の動機の一つとなっていることが示唆されています。

この調査結果は、日本が外国人材にとって依然として魅力的な就労先であり続ける一方で、円安や他国との賃金格差といった経済的要因への対応が今後の重要な課題であることを示しています。特定技能制度への関心と理解の深まりは、外国人材の日本社会への定着と活躍を促す上で重要な要素となるでしょう。


参考文献:

  • 株式会社マイナビグローバル
  • まいどなニュース (Source link)